高齢者の歩きやすい靴はどう選ぶ?スリッポンばかり選ぶ前に確認したいこと
年齢を重ねると、靴を選ぶときに気になることも少しずつ変わってきます。
家族の靴を選ぶとき、最近は「高い靴より、足が楽な靴のほうがいい」と考えるようになりました。
そうすると、つい目に入るのがスリッポンです。
ひもを結ぶ必要がなく、玄関でもさっと履ける。かがむ時間も短くて済むので、確かに便利です。
でも、あるときふと、
「履くのが楽なのと、歩くのが楽なのは同じなのかな?」
と気になりました。
調べてみると、高齢者が毎日の外出で履く靴は、値段やブランドだけでなく、足に合ったサイズ、かかとの安定、靴底、重さ、曲がりやすさなどを確認して選ぶことが大切だと分かりました。
先に結論をまとめると、靴を選ぶときは次の点を見ておくと分かりやすいです。
かかとが歩くたびに浮かない
靴の中で足が大きく前後に動かない
つま先が当たらず、少し余裕がある
重すぎず、歩いたときに足を上げやすい
靴底が適度に曲がり、歩く場所に合っている
スリッポンが高齢者に悪いということではありません。
ただ、「履きやすいから」という理由だけで決めず、実際に歩いたときにも足が安定しているかを見ることが大切です。
高齢者の歩きやすい靴は値段より「足に合っているか」で選ぶ
「少し高い靴を買ったほうが、足にもよさそう」
そう思うことがあります。
もちろん品質のよい靴にはメリットがありますが、高齢者の普段履きでは、値段だけでは歩きやすさを判断できません。
大切なのは、自分の足に合っているかどうかです。
特に注意したいのが、楽だからと大きめの靴を選ぶこと。
幅に余裕があると締めつけが少なく感じるため、「こちらのほうが楽」と思うこともあります。
けれど、歩くたびに靴の中で足が前後に動いたり、かかとが浮いたりするようなら、買い物や散歩で歩く靴として合っているかもう一度確認したいところです。
厚生労働省の高年齢労働者向け資料でも、転倒しにくい作業靴を選ぶポイントとして、サイズ、靴の曲がりやすさ、重さ、つま先部分の高さ、靴底と床との滑りやすさのバランスなどが挙げられています。
これは仕事で使用する靴についての資料ですが、毎日の靴を選ぶときにも参考になる考え方があります。
「締めつけない靴」と「大きすぎる靴」は別。
この違いを覚えておくだけでも、靴選びはかなり変わりそうです。
スリッポンは高齢者に向いていない?便利さにも大きなメリットがある
スリッポンを一律に避ける必要はないと思います。
むしろ高齢になるほど、靴の脱ぎ履きそのものが負担になることがあります。
靴ひもを毎回結ばなくてよい、深くかがまなくても履きやすいという点は、スリッポンの大きなメリットです。
近所へのちょっとした外出なら、履き慣れたスリッポンが一番楽という方もいるでしょう。
私自身も、そう考えるとつい「やっぱり簡単に履けるものがいい」と思ってしまいます。
ただし、試し履きをしたときに、歩くたびにかかとがパカパカ浮くものは少し気になります。
脱げないように無意識につま先に力を入れていたり、足を引きずるように歩いたりするなら、その靴が本当に歩きやすいのか見直してもよさそうです。
スリッポンでも、かかとをある程度包み、足に合ったサイズで安定して歩けるものなら選択肢になります。
反対に、履き口が大きく開いていて足が靴の中で動いてしまうものは、長く歩く日には別の靴を試してみる方法もあります。
靴ひもを結ぶのが大変なら、面ファスナーで調整できる靴なども候補になります。
「スリッポンか、ひも靴か」だけで考えるより、
履きやすさと、歩いているときの安定感の両方を見る
という考え方のほうが選びやすいでしょう。
高齢者が靴を買うとき店頭で確認したい5つのポイント
靴売り場で試し履きをすると、座った状態では「柔らかい」「気持ちいい」と感じる靴が魅力的に思えます。
私も、ふわっとしたクッションがあると、それだけで歩きやすそうに感じます。
でも、そこで決めずに、できれば少し歩いてみたいところです。
店頭では、次の5つを確認すると分かりやすいです。
1.かかとが浮かないか
数歩歩いたときに、かかとだけが何度も持ち上がらないかを確認します。
多少の動きはありますが、靴が脱げそうになるほど浮くなら、サイズや形が合っているか見直します。
2.靴の中で足が前後に大きくずれないか
歩いたときに足が靴の前へ滑り、つま先が当たるようなら負担になりやすくなります。
「ゆったりしていて楽」という感覚だけでなく、歩いたときの動きも見ておきます。
3.つま先が当たっていないか
指先が強く当たっていないか、窮屈ではないかを確認します。
同時に、大きすぎて足全体が動いていないかも見ます。
4.少し歩いて方向を変えてみる
可能なら店内を数歩歩くだけでなく、一度止まり、方向も変えてみます。
まっすぐ歩いたときには分からなかったぐらつきや、かかとの浮きに気づくことがあります。
5.靴底と重さを確認する
手に持ったときだけでなく、履いて歩いたときに重く感じないかを確認します。
厚生労働省の転倒防止資料では、靴の屈曲性が低いと足への負担やすり足につながりやすく、重すぎる靴も足が上がりにくくなる要因になると説明されています。
ただし、単純に「軽ければ軽いほどいい」「滑り止めが強ければ強いほどいい」という意味ではありません。
同資料でも、床と靴底の組み合わせによっては摩擦が強すぎることがつまずきにつながる場合があるため、使用する場所に合った靴を選ぶ考え方が示されています。
転びにくさを考えるなら靴だけでなく歩く環境も一緒に見る
「転ばない靴」というものが一足あれば安心、というわけではありません。
国立長寿医療研究センターの高齢者向け転倒防止情報でも、つまずきには家の中の物、段差、カーペットのへり、靴底など複数の要因が関わるとされています。
つまり、靴を見直すと同時に、
玄関の小さな段差はどうか。
よく歩く廊下に物が置かれていないか。
雨の日に滑りやすい場所はないか。
といった周囲の環境も一緒に見ておくほうが安心です。
新しい靴を買ったから転倒しなくなる、と考えるのではなく、歩き方、体の状態、住まいの環境、靴をまとめて考えるくらいがちょうどよさそうです。
お気に入りの靴も靴底が減っていないか時々確認する
履き慣れた靴は安心感があります。
新品よりも足になじんでいるので、つい長く履き続けてしまいます。
でも、靴の状態は買ったときのままではありません。
左右で靴底の減り方が大きく違っていたり、一部分だけ極端にすり減っていたり、かかとの形が崩れていたりすることがあります。
玄関で靴を脱いだときに、ときどき裏側まで見てみるといいでしょう。
「まだ履けるから」だけではなく、今も歩きやすい状態かという目線で確認すると、交換のタイミングにも気づきやすくなります。
近所用と長く歩く日で靴を分けてもいい
すべての場面を一足で済ませる必要もありません。
近所のごみ出しや短時間の買い物なら、脱ぎ履きしやすい靴が便利です。
一方、スーパーを長く歩く日や旅行、病院への外出などでは、足をしっかり支えてくれる靴のほうが安心できることがあります。
そこで、
すぐ履ける普段用
と
少し長く歩く日の外出用
を分けておくのも一つの方法です。
「この靴は高齢者向けだから何にでも使える」と考えるより、自分がどこで、どのくらい歩くのかを基準に選んだほうが実生活には合いやすいと思います。
高齢者の靴選びは「履きやすい」と「歩きやすい」の両方で考える
高齢になるほど、毎日履く靴に「楽さ」を求めるのは自然なことだと思います。
だから、スリッポンを選ぶこと自体が悪いわけではありません。
私も家族の靴を見ると、結局よく履くのは、高価な一足よりも玄関で迷わず履ける靴です。
ただ今回調べてみて、玄関で履きやすいことと、外を歩いている間ずっと歩きやすいことは分けて考えたほうがいいと感じました。
新しい靴を選ぶときは、難しく考えすぎず、
かかとが浮かないか
足が靴の中で動きすぎないか
つま先が当たらないか
重すぎないか
少し歩いて違和感がないか
まずはこの5つを確認するだけでも十分です。
値段やブランドより、自分の足と生活に合った一足。
そして、「履くときも楽、歩いているときも楽」と感じられる靴を探していきたいですね。
なお、最近急につまずくことが増えた、何もない場所で転びそうになる、足の痛みやしびれが続くといった場合は、靴だけが原因とは限りません。
国立長寿医療研究センターでも、高齢者の転倒についてさまざまな身体的・環境的要因を確認することが大切とされています。気になる変化が続く場合は、医療機関などに相談することも検討してください。
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👉高齢者は1日どれくらい歩けばいい?60代・70代・80代の運動量の目安
今回調べる中で参考にしたもの
・国立長寿医療研究センター「高齢者のための転倒防止セルフチェック」
・国立長寿医療研究センター「長寿医療マニュアル」
・厚生労働省「高年齢労働者の安全衛生対策について」
・厚生労働省 職場のあんぜんサイト「STOP!転倒災害プロジェクト 転倒防止に有効な安全靴」
・熊本労働局「高年齢労働者に配慮した転倒災害防止対策」



