年金だけで生活できる?65歳以上の平均生活費と毎月いくら不足するのかを確認
「年金をもらえるようになれば、毎月の生活費は何とかなるのだろうか」
老後のお金について調べていると、平均年金額はよく目にします。でも、本当に知りたいのは「いくらもらえるか」だけではなく、実際の生活費と比べて足りるのかではないでしょうか。
私も年金について調べ始めた頃は、平均額を見れば老後の暮らしがある程度分かると思っていました。ところが家計調査まで見てみると、夫婦か一人暮らしか、持ち家か賃貸かによって事情はかなり変わります。
2025年の総務省「家計調査」では、65歳以上の無職世帯は、夫婦世帯・単身世帯とも平均の消費支出が可処分所得を上回っています。
ただし、これは「すべての高齢者が毎月同じ金額だけ赤字になる」という意味ではありません。
まず平均を知り、そのあと自分の年金見込額と実際の生活費を比べることが大切です。
2026年度の年金はいくら?
2026年度の老齢基礎年金の満額は、1956年4月2日以後に生まれた方の場合、1人あたり月70,608円です。
また、厚生労働省が示す標準的な夫婦2人の年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月237,279円です。
ただし、237,279円は「一般的な夫婦なら誰でもこの金額を受け取れる」という平均額ではありません。
男性が平均的な収入で40年間働いた場合など、一定の条件を置いて計算したモデル年金です。
実際の受給額は、国民年金や厚生年金への加入期間、現役時代の収入などによって変わります。
そのため、老後の生活費を考えるときは、モデル年金だけで判断せず、自分の年金見込額を確認する必要があります。
65歳以上の平均生活費はいくら?
総務省の2025年「家計調査」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と、65歳以上の単身無職世帯の家計が公表されています。
| 夫婦のみの無職世帯 | 単身無職世帯 | |
|---|---|---|
| 可処分所得 | 221,544円 | 118,465円 |
| 消費支出 | 263,979円 | 148,445円 |
| 差額 | ▲42,434円 | ▲29,980円 |
夫婦世帯では、平均すると可処分所得より消費支出が月42,434円多く、単身世帯では月29,980円多い計算です。
なお、ここでいう可処分所得は「年金額」そのものではありません。 実収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた、世帯が実際に使えるお金を示しています。
そのため、「老後は毎月4万円足りない」と決めつけるのではなく、自分の家計を考えるための目安として見るのがよいでしょう。
平均生活費だけでは分からない「住居費」の差
老後の家計で特に差が出やすいのが住まいです。
住宅ローンを完済した持ち家なら毎月の家賃はありませんが、固定資産税や修繕費、マンションなら管理費や修繕積立金などがかかります。
一方、賃貸住宅では家賃を毎月支払い続けます。
そのため、同じ月15万円の収入でも、住居費が2万円の人と7万円の人では、食費や光熱費などに使える金額が大きく違います。
さらに、車を所有しているか、医療費がどのくらいか、住んでいる地域の物価などによっても必要な生活費は変わります。
平均生活費を見るときは、自分と同じ条件の家計ではないことを意識しておきたいところです。
年金だけで足りない場合はどうする?
毎月の支出が年金などの収入を上回る場合、考えられる方法は一つではありません。
まずは預貯金や退職金から不足分を補う方法があります。
仮に毎月3万円の差が続くとすると、単純計算では1年間で36万円、10年間で360万円です。
ただし、実際には物価や医療費、収入なども変わるため、「老後には必ず360万円必要」という意味ではありません。
すでに年金を受給している場合は、通信費や保険料などの固定費を見直したり、利用できる公的支援がないか確認したりする方法があります。
体調に問題がなければ、無理のない範囲で働き続けることを選ぶ方もいます。
まだ年金を受け取り始めていない方なら、受給開始時期をどうするか検討する方法もあります。
大切なのは、「年金だけで足りない=すぐに生活できなくなる」と考えるのではなく、どのくらい差があるのかを先に把握することです。
自分の場合はいくら足りない?まず3つ確認
平均額と自分の家計を比べるなら、まず次の3つを確認してみると分かりやすいです。
1.自分の年金見込額を確認する
「ねんきんネット」などを利用すると、自分の年金記録や将来受け取る年金の見込額を確認できます。
夫婦の場合は、それぞれの見込額を確認して合計します。
2.今の生活費を3か月ほど確認する
食費、光熱費、通信費、日用品、医療費など、実際に毎月いくら使っているのかを確認します。
1か月だけでは特別な出費の影響を受けやすいため、数か月分を見ると普段の生活費をつかみやすくなります。
3.毎月ではない支出も忘れない
固定資産税、車検、住宅修繕、家電の買い替え、冠婚葬祭などは毎月発生する支出ではありません。
年間で必要になりそうな金額を12か月で割って、毎月の生活費とは別に考えておくと、実際の家計に近づきます。
最後に、
毎月の収入-毎月の支出
を計算してみます。
マイナスなら、その金額が老後資金を考える最初の目安になります。
年金額は毎年同じではない
年金額は一度決まったらずっと同じではありません。
公的年金は、物価や賃金の変動などに応じて年度ごとに改定される仕組みです。
2026年度の年金額も前年度から改定されています。
一方で、生活に必要なお金も物価などによって変化します。
そのため、数年前に作った老後資金の計画をそのまま使い続けるのではなく、ときどき年金見込額と生活費を確認し直すことが大切です。
よくある質問
夫婦で月23万円ほど年金があれば生活できますか?
住居費や生活スタイルによって異なるため、金額だけでは判断できません。
2025年の家計調査では65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は平均月263,979円ですが、これはあくまで平均です。
自分たちの住居費や実際の生活費と比べて判断しましょう。
老後は毎月4万円ほど不足すると考えればよいですか?
そうとは限りません。
42,434円は2025年の家計調査における65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な家計収支の差です。
収入や住居費などが違えば、黒字になる世帯もあれば、それ以上の差が出る世帯もあります。
自分が受け取れる年金額はどこで確認できますか?
日本年金機構の「ねんきんネット」などで年金記録や年金見込額を確認できます。
老後資金を計算するときは、一般的なモデル年金より、自分の見込額を使う方が現実的です。
平均額より「自分の毎月」を確認しよう
2026年度の老齢基礎年金の満額は月70,608円、標準的な夫婦のモデル年金は月237,279円です。
一方、2025年の家計調査では、65歳以上の無職世帯で平均の消費支出が可処分所得を上回っています。
ただ、この二つの数字だけを比べて「年金では暮らせない」と結論づけることはできません。
私も調べる前は年金の平均額ばかり気にしていましたが、実際には自分がいくら受け取り、住居費を含めて毎月いくら使うのかを確認する方がずっと重要だと感じました。
まずは年金見込額と直近数か月の生活費を並べてみる。老後のお金を考えるなら、そこから始めると具体的な不足額が見えやすくなります。
今回調べる中で参考にしたもの
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」
・厚生労働省「年金制度のポイント 2026年度版」
・総務省統計局「家計調査報告 2025年平均結果」
・日本年金機構「ねんきんネット」
※年金額や制度は改定されることがあります。実際の受給見込額や制度を確認する際は、日本年金機構や厚生労働省などの最新情報をご確認ください。
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