介護ベッドのすき間が危ない?高齢者が使う前に確認したい事故防止のポイント
介護ベッドは、起き上がったり立ち上がったりするときの負担を減らし、高齢者の暮らしを支えてくれる大切な福祉用具です。
ところが、使い方やベッド周りの環境によっては、思わぬ事故につながることがあります。
特に気をつけたいのが、手すり(サイドレール)やマットレスの周りにできる「すき間」です。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は2026年9月17日、敬老の日を前に、高齢者が使う介護ベッドや電動車いすなどの事故について注意を呼びかけました。
NITEによると、2016年から2025年までの10年間に通知された製品事故情報では、高齢者が介護ベッドのすき間に挟まるなどの事故が43件ありました。
介護ベッドを使っている家庭では、まず「手すりのすき間」「手すりとマットレスの間」「電動で動く部分」を見てみましょう。
まずは30秒、介護ベッドの周りをチェック
難しい点検をする必要はありません。
まずは普段使っている状態のまま、ベッドの周りを見てみます。
☐ 手すり同士の間に頭や首が入りそうなすき間がない
☐ 手すりとマットレスの間に大きなすき間がない
☐ 手すりとベッドの頭側のボードの間に危険なすき間がない
☐ 電動で動かす前に手や足の位置を見ている
☐ ベッドの周りに物を置きすぎていない
☐ 古いベッドの場合、JIS規格への適合状況を確認している
一つでも気になる場所があれば、そのまま自己判断で使い続けるのではなく、取扱説明書を確認したり、メーカーやレンタル事業者などに相談したりすると安心です。
介護ベッドではどこに挟まれる?
介護ベッドの事故というと、ベッドからの転落を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、消費者庁は、介護ベッドと柵・手すりの間などに首や手足が挟まる事故についても注意を呼びかけています。
危険が生じる可能性があるのは、手すり同士の間だけではありません。
手すりとベッドの間、手すりとマットレスの間、ベッドと床の間などでも挟み込み事故が報告されています。
寝返りを打ったときや、ベッドの外にある物を取ろうとして体を動かしたときなど、普段の何気ない動作がきっかけになる場合もあります。
特に自分で体の位置を変えることが難しい方が使っている場合は、本人だけでなく家族や介助する人もベッド周りに目を向けておきたいところです。
10年間で43件、製品だけが原因とは限らない
NITEが2026年9月に公表した資料によると、2016年から2025年までの10年間に、高齢者が介護ベッドのすき間に挟まるなどの事故が43件通知されています。
さらに、介護ベッドの事故の約5割は「製品の不具合以外による事故」だったとされています。
そのため、製品そのものだけでなく、使い方や設置されている環境にも目を向ける必要がありそうです。
NITEでは事故を防ぐポイントとして、JIS規格に適合した製品を使用することや、スペーサー・保護カバーなどを利用して、挟まるおそれのあるすき間をできるだけなくすことを挙げています。
毎日使っているベッドだからこそ、慣れてしまって危険な場所を見落としていないか、ときどき見直してみることが事故予防につながります。
古い介護ベッドほど「すき間」を見ておきたい
介護ベッドは、一度用意すると長く使うこともあります。
消費者庁によると、2009年3月に介護ベッドのJIS規格が大きく改正され、ベッド用手すりのすき間などについて安全基準が強化されました。
そのため、特に2009年以前の古い製品を使用している場合は、現在使っているベッドや手すりの状態を一度見ておきたいところです。
新しいJIS規格に適合している製品かどうか分からない場合は、レンタル契約先の事業者や販売事業者に問い合わせる方法があります。
私も親が年齢を重ねるにつれて、介護用品の安全について以前より気になるようになりました。
介護ベッドというと「転ばないため」「起き上がりやすくするため」というイメージが強かったのですが、今回のNITEの発表を見て、ベッドから落ちることだけでなく、すき間に挟まる事故にも気をつける必要があると改めて感じました。
今は介護ベッドを必要としていなくても、親が使うようになったときには、ベッド本体だけではなく手すりや周囲まで見ることを覚えておきたいと思います。
すき間を見つけたら、どうすればいい?
手すりの間などに気になるすき間を見つけた場合は、使用している製品に合った対策を調べてみましょう。
消費者庁では、すき間を塞ぐ対応品を使う方法や、カバーなどで手すり全体を覆う方法などを紹介しています。
NITEも、スペーサーや保護カバーなどを使い、挟まるおそれがあるすき間をできるだけなくすよう呼びかけています。
ただし、介護ベッドはメーカーや機種によって構造が異なります。
専用のスペーサーやカバーなどが用意されている場合もあるため、どの方法が適しているか分からないときは、メーカーやレンタル事業者に相談するとよいでしょう。
「とりあえず何かを詰めておけば大丈夫」と考えるのではなく、使っているベッドに合った安全対策を選ぶことがポイントです。
電動ベッドを動かす前に手足の位置を見る
もう一つ忘れたくないのが、電動ベッドを操作するときです。
背中を起こしたりベッドの高さを変えたりするとき、手や足の位置によっては、マットレスと手すりの間などに挟まれる可能性があります。
消費者庁も、電動ベッドを動かす際には、利用者の手足の位置を見てから操作するよう案内しています。
手元スイッチも、誤って操作しないよう安全な場所に置いておくことが勧められています。
毎日の介護では慣れた操作になりがちですが、動かす前に一度利用者の姿勢を見る習慣をつけておくとよさそうです。
帰省したとき、家族にも見てほしい
毎日同じ環境で生活していると、少しずつ増えた物や、以前からあるすき間には意外と気づきにくいものです。
家族が実家を訪れたときは、介護ベッドの周りを一緒に見てみるのもよい機会です。
「手すりの間は大丈夫かな」
「マットレスとの間に大きなすき間はないかな」
「ベッドの周りに物が増えていないかな」
そんな簡単な見直しでも構いません。
介護ベッドは、高齢者の生活を楽にし、家族の介護負担を減らしてくれる便利な道具です。
だからこそ「介護用の製品だから安全だろう」と思い込まず、すき間・手すり・電動操作時の手足の位置をときどき見直しておきたいですね。
特に長く同じベッドを使っている家庭では、敬老の日や帰省など家族が集まる機会に、ベッドの周りまで一緒にチェックしてみてはいかがでしょうか。
今回調べる中で参考にしたもの
・独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
「敬老の日に願い、届ける、安全なくらし ~ほぼ毎年死亡事故が発生!介護ベッド・電動車いすなどの高齢者の事故を防ぐ~」(2026年9月17日)
・消費者庁
「介護ベッドと柵や手すりとの間に首などが挟まれる事故に注意―毎年死亡事故が発生しています―」
・消費者庁
「医療・介護ベッド安全点検チェック表」
※介護ベッドの構造や使用できる安全対策用品は製品によって異なります。具体的な対応については、使用している製品の取扱説明書やメーカー、レンタル事業者などでご確認ください。

