高齢者の夏の食欲不振、何を食べる?食べられない時に家族が確認したいこと
夏になると、いつもより食事の量が減ることがあります。
「暑いから今日は食べたくない」
「冷たい飲み物だけで十分」
「ご飯を用意しても、ほとんど残してしまう」
本人は「夏だから仕方ない」と思っていても、家族から見ると少し心配になることもあります。
高齢になると、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあり、気づかないうちに水分が不足することもあります。
また、食事量が減った状態が続けば、エネルギーやたんぱく質などが十分にとれず、低栄養につながることもあります。
大切なのは、無理に一人前を食べてもらうことではありません。
「今日は何なら食べられそうか」「水分はとれているか」「いつもと違う様子はないか」
この3つから確認してみると、家族も対応を考えやすくなります。
今回は、高齢の家族が夏に「食べたくない」と言った時に、まず確認したいことと、少量でも食べやすい食事の考え方をまとめます。
高齢者が夏に食べられない時は、まず「夏バテ」と決めつけない
夏になると食欲が落ちると、つい「夏バテだろう」と考えてしまいます。
ただ、高齢者の食欲不振にはさまざまな原因があります。
暑さによる疲れだけでなく、水分不足、睡眠不足、口の中の状態、薬の影響、体調の変化などが関係している場合もあります。
そのため、食べ物を工夫する前に、まず普段との違いを見てみることが大切です。
たとえば、
昨日までは普通に食べていたのに急に食べなくなった
水分もあまりとれていない
いつもより横になっている時間が長い
会話が少なく、反応も鈍い
めまい、頭痛、吐き気などがある
といった変化がないか確認します。
厚生労働省では、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能や、暑さに対する体の調整機能が低下しているため、熱中症に特に注意が必要としています。
「食欲がない」という言葉だけを見るのではなく、水分・体調・室温なども一緒に見ることが大切です。
食欲がない時は「一人前を食べる」ことにこだわらない
食欲が落ちている人に、
「ちゃんと食べないと体に悪いよ」
「全部食べないとだめだよ」
と言っても、食べること自体が負担になってしまうことがあります。
そんな時は、一度にたくさん食べることよりも、食べられそうなものを少量から考えてみます。
たとえば朝食をほとんど食べられなかった場合でも、少し時間をあけてヨーグルトやバナナを食べられるかもしれません。
昼に麺類しか食べられないなら、卵や豆腐などを少し加える方法もあります。
「3食すべてをきれいに食べる」ことだけを目標にせず、一日の中で少しずつ補うという考え方もあります。
ただし、食事量が少ない状態が続いている場合や体重が減ってきた場合には、自己判断だけで済ませず医療機関などに相談することも大切です。
高齢者が夏に食べやすいのは「少量+たんぱく質」を意識した食事
食欲がない時に何を出すか迷ったら、特定の「夏バテ食品」を探すより、
本人が食べやすいもの + 少量でも栄養を補いやすいもの
という組み合わせで考えると選びやすくなります。
豆腐を食べられるなら、薬味や卵などを組み合わせる
冷ややっこは、暑い日でも比較的食べやすい一品です。
豆腐だけでもよいですが、食べられそうなら卵や魚、ほかのおかずを少し組み合わせると食事全体のバランスをとりやすくなります。
しょうが、大葉、ねぎなど、本人が好きな薬味を使って食べやすくするのも一つの方法です。
麺類なら「麺だけ」で終わらせない
暑い日は、そうめんやうどんなら食べられるという人もいます。
そんな時は麺をやめる必要はありません。
卵、鶏肉、豆腐などを少量添えたり、食べられる野菜を加えたりすることで、麺だけの食事より栄養を補いやすくなります。
全部を一つの器に入れなくても、食べられるものを小皿で添えるだけでも構いません。
卵は食べ方を変えやすい
卵は、ゆで卵、卵焼き、茶碗蒸し、スープなど、体調や好みに合わせて形を変えやすい食品です。
固いものを食べにくい日なら、茶碗蒸しや卵スープのような料理のほうが食べやすいこともあります。
果物やヨーグルトは「食事の代わり」ではなく補助として
バナナ、桃、スイカなどの果物やヨーグルトは、食欲がない時でも口にしやすいことがあります。
ただし、それだけで一日の食事を済ませるのではなく、食事量が少なかった時の補助として考えます。
「何も食べられない」より、まず口にできるものを見つけ、そこからほかの食品につなげていく考え方です。
家族が確認したいのは食事だけではない
高齢の家族の食欲が落ちた時には、冷蔵庫の中だけでなく、生活環境も確認してみます。
水分はとれているか
高齢者は、のどの渇きを感じにくくなることがあります。
厚生労働省も、のどが渇いていなくてもこまめに水分を補給するよう呼びかけています。
朝起きた時、食事の時、入浴の前後など、生活の中で水分をとるタイミングを作ると忘れにくくなります。
ただし、心臓や腎臓の病気などで水分や塩分について医師から指示を受けている場合は、その指示を優先します。
部屋が暑くなっていないか
本人が「暑くない」と言っていても、室温が高くなっている場合があります。
特に一人暮らしの場合は、エアコンを使っているかだけでなく、実際の室温も確認できると安心です。
厚生労働省も、高齢者の熱中症予防としてエアコン等による温度調節を呼びかけています。
最近、体重が減っていないか
「少し食べない日があった」だけなのか、食事量が少ない状態が何週間も続いているのかでは意味が違います。
農林水産省も、高齢者では食事量が減ることで低栄養につながることがあり、フレイル予防のためにも食生活が重要だとしています。
最近ベルトが緩くなった、服が大きく感じるようになったなど、普段の生活の中で分かる変化にも目を向けてみます。
「夏バテだと思っていた」で済ませないほうがよい時
食欲がないからといって、すべてが熱中症や病気というわけではありません。
一方で、夏だからと決めつけないことも大切です。
特に、
自力で水分を飲めない
意識がおかしい、呼びかけへの反応がおかしい
強いめまいや立ちくらみがある
頭痛や吐き気などがある
普段と明らかに様子が違う
といった場合には注意が必要です。
厚生労働省では、熱中症が疑われる場合に涼しい場所へ移動し、体を冷やし、水分などを補給することを案内しています。また、自力で水が飲めない場合や意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています。
食欲不振が続く場合や体重減少がみられる場合も、夏バテと自己判断せず、かかりつけ医などに相談しましょう。
離れて暮らす親なら「何を食べた?」より聞きやすい質問もある
離れて暮らしている高齢の親の場合、毎日の食事を直接見ることはできません。
電話で「ちゃんと食べた?」と聞くと、
「食べたよ」
だけで終わってしまうこともあります。
そんな時は、
「今日は何を食べた?」
「お茶や水は飲んでる?」
「部屋は暑くない?」
「昨日と比べて体調はどう?」
など、少し具体的に聞くと普段との違いに気づきやすくなります。
食事の内容だけではなく、声の元気さや会話の様子も一つの手がかりになります。
家族が毎日すべてを管理する必要はありません。
「いつもと違わないか」を気にかけることが、夏の見守りでは大切です。
まとめ|食べ物を探す前に「いつもとの違い」を見る
高齢者が夏に食欲をなくした時は、「何を食べさせればいいか」だけを考えがちです。
もちろん、豆腐、卵、麺類、ヨーグルト、果物など、本人が食べやすいものを利用することも一つの方法です。
しかし、それ以上に確認したいのが、
水分はとれているか
部屋が暑くなっていないか
普段と比べて元気があるか
食事量の低下や体重減少が続いていないか
ということです。
一度にたくさん食べられない日は、食べられるものを少量から考えます。
一方で、水分がとれない、意識や反応がおかしいなど熱中症が疑われる症状がある場合は、「夏バテだから」と様子を見るのではなく、適切な対応につなげることが重要です。
夏の食欲不振を食べ物だけの問題として考えず、体調や生活環境まで一緒に確認していきましょう。
参考資料
・厚生労働省「熱中症予防のために」
・厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」
・厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」
・農林水産省「しっかり食べて老化を防ぐ」


