高齢者の訪問美容に助成はある?自治体の訪問理美容サービスと利用条件

美容院や理髪店へ行きたいと思っていても、足腰が弱くなったり介護が必要になったりすると、外出そのものが負担になることがあります。

前の記事で60代・70代女性の髪型について調べていたとき、「自分で美容院まで行けなくなったら、髪はどうすればいいのだろう」と気になりました。

調べてみると、自治体によっては、理容師や美容師が自宅を訪問する訪問理美容サービスを実施しています。

自宅で訪問理美容を利用する高齢女性

ただし、65歳以上なら誰でも利用できる全国共通の制度ではありません。

要介護度や外出が難しい状態などの条件があり、自治体によって対象者、利用料金、利用回数、支援される範囲も違います。

また、「助成がある=美容院代がすべて無料」という意味でもありません。

まずはこの点を知っておくと、自分や家族が必要になったときに制度を探しやすくなります。

高齢者の訪問理美容には自治体の助成がある?

訪問理美容とは、理容師や美容師が自宅などを訪問して、カットなどのサービスを行うものです。

厚生労働省は、理容所・美容所以外で行う「出張理容・出張美容」について対象となるケースを示しています。

2026年3月26日に改正された厚生労働省の通知では、病気だけでなく、骨折、認知症、障害、寝たきりなどの要介護状態にあり、その程度や生活環境から理容所・美容所へ行くことが難しい人などが対象として考えられるとされています。

年齢だけで利用できるわけではなく、本人の身体状態や生活環境なども関係するということです。

さらに自治体では、こうした外出が難しい高齢者を対象に、独自の訪問理美容サービスを用意している場合があります。

厚生労働省も、在宅高齢者に対する理容・美容サービスについて、地方自治体の独自事業などを活用した取り組みを案内しています。

自治体の訪問理美容サービスを3つの地域で比較

制度が地域によってどのくらい違うのか、2026年8月時点で自治体の公式サイトに掲載されている内容を確認してみました。

自治体主な対象利用者負担・内容利用回数
千葉市65歳以上・在宅・要介護3~5で理美容店の利用が困難な人出張費は市が負担。カットなどの理美容料金は自己負担年4回まで
世田谷区65歳以上・要介護3~5で理美容店へ行くことが困難な人1回1,000円年6回まで
横浜市おおむね65歳以上で要介護4・5など、外出が困難な在宅高齢者カット1回2,000円年6回まで

たとえば千葉市では、在宅の65歳以上で要介護3~5の認定を受け、理容店や美容院の利用が難しい人が対象です。

市が負担するのは理容師・美容師の出張費で、カットやシャンプーなどの料金は利用者が支払います。年間の利用は4回までです。

一方、世田谷区では、65歳以上の要介護3~5で理美容店へ行くことが難しい人を対象に、訪問理美容券を年間6枚まで支給しており、利用者負担は1回1,000円です。

横浜市では、おおむね65歳以上の在宅高齢者で、原則として要介護4・5など一定の条件を満たす人が対象です。カットは1回2,000円で、年6回まで利用できます。

横浜市では要支援1から要介護3でも、福祉保健センター長が特に必要と認めた場合は対象となることがあります。

こうして比べるだけでも、対象となる要介護度や自己負担、年間利用回数が同じではないことが分かります。

助成があってもカット代が無料とは限らない

訪問理美容の助成と自己負担を説明する図

訪問理美容について調べるときに、特に確認しておきたいのが「何の費用を自治体が支援しているのか」です。

千葉市のように出張費を自治体が負担し、カット代などは本人が支払う制度もあります。

世田谷区のように、決められた利用者負担額で訪問理美容を受けられる制度もあります。

そのため、「訪問美容の助成がある」と見つけても、通常のカット料金、出張費、シャンプーやカラーなどの追加サービスまで、すべて無料になるとは限りません。

利用前に、

  • 何が助成の対象になるのか

  • 自己負担はいくらか

  • カット以外も利用できるか

  • 年に何回利用できるか

を確認しておくと安心です。

自分の地域の訪問理美容助成を調べる方法

訪問理美容サービスの利用条件を確認するチェックリスト

住んでいる地域に同じような制度があるか知りたい場合は、まず市区町村の公式サイトを確認してみましょう。

検索するときは、

「〇〇市 訪問理美容 高齢者」

「〇〇区 訪問美容 助成」

「〇〇市 出張理美容 高齢者」

など、自治体名を入れると見つけやすくなります。

自治体のサイトでは、高齢者福祉、在宅生活支援、介護保険以外のサービスなどのページに掲載されていることがあります。

検索しても分からない場合は、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談する方法もあります。

すでにケアマネジャーがいる場合は、地域で利用できるサービスについて尋ねてみてもよいでしょう。

民間の訪問美容を予約する前に確認したいこと

インターネットで「訪問美容」と検索すると、自治体の制度だけでなく民間事業者のサービスも多く表示されます。

自宅まで美容師が来てくれる点は同じでも、民間の訪問美容と自治体が実施する訪問理美容サービスは別のものです。

自治体の制度では、利用券や協力店、指定された申込方法などが決められている場合があります。

そのため、自治体の助成を利用したい場合は、先に自分で民間サービスを予約するのではなく、まず制度の対象になるか確認したほうが安心です。

また、訪問理美容の対象や実施方法については地域ごとの条例や要綱なども関係します。

厚生労働省は2026年3月の通知で、出張理容・出張美容を行う際の衛生管理に加え、理容師・美容師であることを証明するものを持参し、利用者などから求められた場合には提示することも示しています。

美容院へ行けなくなったときの選択肢として知っておきたい

髪を整えることは、おしゃれのためだけではありません。

髪が伸びると洗髪や乾燥に時間がかかったり、本人や介護する家族の負担が増えたりすることもあります。

私はシニア世代の髪型の記事を書くまで、訪問理美容に自治体の支援制度があることを詳しく知りませんでした。

調べてみると、同じ「訪問理美容」という名前でも、千葉市・世田谷区・横浜市だけで対象条件や料金、回数が異なります。

今は必要がなくても、本人や家族が美容院へ行くことに負担を感じるようになったとき、「自宅で髪を切ってもらう方法もある」と知っているだけでも選択肢は広がります。

制度がない地域や、条件に当てはまらない場合もあります。利用を考えるときは、お住まいの自治体の公式サイトで最新の対象条件や料金を確認してください。

あわせて読みたい

👉60代・70代女性の髪型はどう選ぶ?手入れが楽なショート・ボブのポイント

今回調べる中で参考にしたもの

・厚生労働省「理容・美容」
・厚生労働省「理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象等について(一部改正)」令和8年3月26日
・厚生労働省「在宅の高齢者に対する理容・美容サービスの積極的な活用について」
・千葉市「高齢者訪問理美容サービス」
・世田谷区「高齢者訪問理美容サービス」
・横浜市「訪問理美容サービス事業」

※掲載内容は2026年8月時点で各公的機関の公式情報を確認したものです。制度内容や料金、対象条件は変更される場合がありますので、実際に利用するときは各自治体の最新情報をご確認ください。

このブログの人気の投稿

帯状疱疹ワクチンは何歳が対象?2026年度の年齢・費用・2種類の違い

年金生活者支援給付金の「緑の封筒」が届いたら?対象者・金額・申請方法をわかりやすく解説

高齢者の歩きやすい靴はどう選ぶ?スリッポンばかり選ぶ前に確認したいこと

高齢者の運転免許更新は何をする?70歳・75歳で変わる講習と認知機能検査

スマホが指に反応しないのは乾燥のせい?60代から確認したい原因と対処法

秋になると肌がかゆい!高齢者に増える乾燥の原因と今すぐできる保湿対策

年金をもらいながら働くと減る?2026年の『月65万円』と在職老齢年金をわかりやすく解説

年金の「意向確認書」が届いた!返送しないとどうなる?何もしなくていい人を確認

年金だけで生活できる?65歳以上の平均生活費と毎月いくら不足するのかを確認

年金生活者支援給付金のはがきが届かない!対象のはずなのに来ないときはどうする?