高齢者の夜間頻尿が心配…夏の水分は減らしていい?飲み方と受診の目安
「夜中に何度もトイレへ行きたくないから、夕方から水分を控えている」
そんな方もいるかもしれません。
夜のトイレが増えると、眠りが途切れるだけでなく、暗い時間に何度も歩くことで転倒も心配になります。だからといって、暑い時期に水分を極端に減らすのも避けたいところです。
一方で、熱中症が心配だからと必要以上に大量の水を飲めば、尿量が増えて夜間頻尿につながることもあります。
ポイントは、「飲まない」か「たくさん飲む」かの二択にしないこと。
日中の水分を不足させず、寝る直前のまとめ飲みを避けながら、夜間頻尿そのものの原因も確認していきましょう。
夜間頻尿が心配でも、水分を極端に減らさない
日本泌尿器科学会では、夜間に排尿のため1回以上起きる症状を「夜間頻尿」としています。
ただし、夜に1回トイレへ行くだけで、すぐに治療が必要というわけではありません。回数だけでなく、よく眠れない、日中に眠気や疲れが残るなど、生活への影響も重要です。
暑い時期は、高齢者ほどのどの渇きを感じにくく、気づかないうちに水分が不足していることがあります。
「トイレに行きたくないから」と夕方以降まったく飲まないようにするのではなく、その日の暑さや汗のかき方、食事量、体調を見ながら、無理のない範囲で水分をとりましょう。
心臓や腎臓の病気などで水分量を指示されている方は、一般的な目安ではなく主治医の指示を優先してください。
夜中のトイレは「水を飲みすぎたから」とは限らない
夜間頻尿には、いくつかの原因があります。
日本泌尿器科学会では、大きく分けて「夜につくられる尿が多い」「膀胱に十分ためられない」「睡眠に問題がある」などの原因があると説明しています。
前立腺肥大症や過活動膀胱などの泌尿器の病気だけでなく、糖尿病や心臓・腎臓の病気、睡眠の問題、服用している薬などが関係する場合もあります。原因が一つとは限らず、いくつか重なっていることもあります。
また、日中に脚がむくみやすい方では、横になることで脚にたまっていた水分が血管内へ戻り、夜間の尿量が増えることもあります。
そのため、夜中に何度も起きるからといって、単純に水分だけを減らせば解決するとは限りません。
日中の水分を不足させず、寝る前のまとめ飲みを避ける
夜間頻尿が気になる場合は、「どれくらい飲むか」だけでなく「いつ飲んでいるか」も見直してみましょう。
日中ほとんど飲まず、寝る直前になって「今日は水分が足りなかった」と慌ててたくさん飲む習慣は避けたいところです。
朝起きた時、食事の時、日中の休憩、入浴の前後など、生活の区切りに合わせて少しずつ補うほうが取り入れやすくなります。
ただし、「寝る前は一滴も飲んではいけない」という意味ではありません。
のどが渇いている、入浴後に汗をかいた、寝室が暑いといった時まで我慢する必要はありません。その日の状態に合わせて、無理のない範囲で補いましょう。
1日に必要な水分量そのものを知りたい場合は、関連記事👉「高齢者は1日にどれくらい水分をとればいい?1.2Lの目安と家族が確認したい脱水のサイン」で詳しくまとめています。
夜のコーヒー・お茶・お酒も見直してみる
夜間頻尿が気になる時は、水以外の飲み物にも目を向けてみましょう。
夕食後にコーヒーや濃いお茶を何杯も飲んだり、晩酌をしてから寝たりする習慣がある場合、カフェインやアルコールが尿量や睡眠に影響することがあります。
すべてを禁止する必要はありません。
「最近、夜中のトイレが増えた」と感じた時に、夕方以降に何を、何時ごろ、どのくらい飲んでいるかを一度確認してみるだけでも、原因を探る手がかりになります。
夜間頻尿が気になるなら、数日だけ記録してみる
夜中に何回起きたかだけでは、原因はなかなか分かりません。
日本泌尿器科学会では、頻尿が気になる場合に「排尿日誌」をつける方法を紹介しています。
数日だけでも、次のような項目をメモしてみましょう。
・飲み物を取った時間とだいたいの量
・トイレへ行った時間
・分かる範囲での尿量
・夜中に起きた回数
・むくみや強いのどの渇きなど、気になった体調
完璧に記録する必要はありません。
「夕方からほとんど飲んでいなかった」
「寝る前にまとめて飲んでいた」
「夜中は何度も起きるのに、毎回の尿量は少なかった」
など、自分では気づかなかった傾向が見えてくることがあります。
受診する場合も、こうした記録があると、いつからどのような状態なのかを医師へ伝えやすくなります。
夜間頻尿で病院に相談したほうがいいのはどんな時?
年齢とともに夜間頻尿は増える傾向がありますが、「もう年だから仕方ない」と我慢し続ける必要はありません。
特に、
・毎晩何度も起きて眠れない
・日中の強い眠気や疲れにつながっている
・以前より急に回数が増えた
・尿が出にくい、排尿時に痛みがある
・血尿が出た
・強いのどの渇きや脚のむくみがある
といった場合は、かかりつけ医や泌尿器科への相談を考えましょう。
夜中に何度も移動することで、転倒の危険が高まることもあります。特に暗い廊下や段差がある家では、夜間頻尿を単なる「眠りの問題」だけで考えないことも必要です。
よくある質問
Q. 夜間頻尿なら寝る前は水を飲まないほうがいいですか?
一律に「寝る前は飲まない」と決めるのはおすすめできません。
日中から必要な水分を補い、寝る直前の大量摂取を避けるのが基本です。暑い日や入浴後など、体が水分を必要としている時まで我慢しないようにしましょう。
Q. 夜1回トイレに起きるだけでも夜間頻尿ですか?
医学的には、排尿のため夜間に1回以上起きる状態が夜間頻尿とされています。
ただし、治療が必要かどうかは回数だけでは決まりません。本人がどの程度困っているか、睡眠や日中の生活に影響しているかも、受診を考えるポイントになります。
Q. 夏は1日1.2L必ず飲まなければいけませんか?
必要な水分量には個人差があります。
体格、食事、汗の量、持病、服薬状況などによって変わるため、全員が必ず同じ量を飲むという意味ではありません。
特に水分制限を受けている方は、自己判断で量を増減せず、医師の指示に従ってください。
夜のトイレと夏の水分補給は、どちらかを我慢する問題ではない
夜間頻尿が続くと、「水を減らせば夜中に起きずに済むのでは」と考えたくなります。
けれども、暑い時期に水分を極端に控えるのも、反対に必要以上に大量に飲むのも適切とは限りません。
夜のトイレが気になったら、まず数日だけ「何時ごろ何を飲んだか」「何時にトイレへ行ったか」をメモしてみると、自分では気づかなかった傾向が見えてくることがあります。
そのうえで、日中の水分を不足させず、寝る直前のまとめ飲みを避けるよう調整してみましょう。
夜間頻尿がつらい、急に悪化した、ほかの症状もある場合は、「年齢のせい」と決めつけず医療機関に相談してください。
暑い時期の脱水やふらつきなど、もう少し広い範囲の体調管理については、関連記事👉「高齢者が夏に体調を崩しやすいのはなぜ?熱中症・脱水など注意したい症状と予防」も参考になります。
※本記事は一般的な健康情報をまとめたものです。持病や服薬状況によって適切な水分量や対応は異なります。治療中の方は、自己判断で水分量や薬を変更せず、医師や医療機関へ相談してください。
参考資料
・日本泌尿器科学会「夜間、何度も排尿で起きる」
・日本泌尿器科学会「尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」
・国立長寿医療研究センター「頻尿の原因は?」
・国立長寿医療研究センター「夜間のトイレ 何回行きますか【夜間頻尿】」
・環境省「高齢者のための熱中症対策」


