50代から始める老後の準備|お金だけではない7つの備え
「老後の準備」と聞いても、少し前まではまだ先のことだと思っていました。
でも、自分自身が50代を目前にすると、急に他人事ではなくなってきました。
これまでは高齢の親の暮らしを心配することのほうが多かったのに、考えてみれば自分にも60代、70代はやってきます。
では、老後の準備は何歳から始めればよいのでしょうか。
老後準備を始める年齢に決まりはありません。ただ、50代を迎えるころは、これからの働き方や年金、健康、住まいについて、少しずつ現実的に考え始める方も多いのではないでしょうか。
内閣府の「令和8年版高齢社会白書」を見ると、高齢期の暮らしには、就業や所得、健康・福祉、社会参加、住生活、交通など、さまざまな要素が関わっていることが分かります。
50代から考えておきたいのは、次の7つです。
将来の年金と毎月の生活費
健康を保つための習慣
年齢を重ねても暮らしやすい住まい
60代以降の働き方
車を使わなくなった後の移動手段
家族以外の人とのつながり
将来の医療や介護についての希望
全部を今すぐ決める必要はありません。
まずは「10年後、20年後も今と同じ暮らし方ができるだろうか」と考えてみるだけでも、今から確認しておきたいことが見えてきます。
1.50代になったら年金と毎月の生活費を一度確認する
老後準備で最初に気になるのは、やはりお金ではないでしょうか。
「老後には○千万円必要」といった大きな数字を見ると不安になりますが、必要な金額は住まいや家族構成、働き方によっても変わります。
まず知っておきたいのは、自分が将来どのくらい年金を受け取れそうなのか、今の生活に毎月いくらかかっているのかという二つです。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、自分の年金記録をもとに将来の老齢年金の見込額を試算できます。今後の働き方や年金を受け取り始める年齢など、条件を変えて確認することもできます。
一方、支出については、住宅費、保険料、通信費、車にかかる費用など、毎月ほぼ決まって出ていくお金を書き出してみると分かりやすくなります。
老後資金の目標額をいきなり決めるよりも、まずは「将来入ってくるお金」と「現在出ていくお金」を知ることから始めたほうが、自分の暮らしに合った準備を考えやすくなります。
2.健康は「悪くなってから」ではなく今の習慣を見直す
50代になると、健康診断の数字や体力の変化が以前より気になり始める方もいると思います。
私自身も、若いころのように「少しくらい無理をしても大丈夫」とは考えにくくなってきました。
だからといって、老後のために急に激しい運動を始める必要はありません。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、個人差を踏まえて無理のない範囲から取り組み、今より少しでも多く体を動かすことが勧められています。
歩く時間を増やす、座りっぱなしの時間を減らす、日常生活の中で体を動かすなど、続けやすいことから考えてみるとよいでしょう。
健康診断に加えて、歯や目、聞こえ方なども、これからの生活のしやすさに関わります。
「悪くなってから何とかする」のではなく、今できていることをできるだけ長く続けるための準備と考えると取り組みやすくなります。
3.70代になっても今の家で暮らしやすいか考える
今は何の不便も感じていない家でも、年齢を重ねると使いにくくなる場所が出てくることがあります。
例えば、毎日上り下りする階段、浴槽のまたぎ、玄関の大きな段差、寝室からトイレまでの距離などです。
だからといって、50代になったらすぐにリフォームや住み替えをする必要はありません。
今の家を見ながら、
「足腰が弱くなってもこの階段を使えるかな」
「夜にトイレへ行くとき、この廊下は暗くないかな」
「1階だけでも生活できる間取りかな」
と考えてみるだけでも十分です。
住まいは家具のように簡単には取り替えられません。
元気なうちに不便になりそうな場所を知っておけば、将来必要になったときに、手すりの設置や住宅改修、住み替えなどを慌てずに検討できます。
4.60代以降、仕事をどう続けたいか考えてみる
老後というと「何歳で仕事を辞めるか」を考えがちですが、50代からはどんな働き方なら無理なく続けられるかも考えておきたいところです。
「60歳を過ぎても今と同じ働き方をしたいのか」
「収入が少し減っても、勤務時間を短くしたいのか」
「これまでの経験を生かせる別の仕事も考えてみたいのか」
答えは人によって違います。
内閣府の高齢社会白書でも、高齢期の就業や所得は重要なテーマとして取り上げられています。
仕事を続けることは収入だけでなく、生活時間や人との関わりにも影響します。
退職が近づいてから急に決めるのではなく、50代のうちに「自分はどんな60代を過ごしたいのか」と一度考えてみることが、これからの働き方を選ぶきっかけになります。
5.車を運転しなくなった後の移動手段を確認する
住まいとは別に考えておきたいのが、外出するときの移動手段です。
今は車で自由に出掛けている人でも、将来ずっと運転を続けるとは限りません。
そこで一度、
「車がなくてもスーパーへ行ける?」
「病院へはどうやって行く?」
「最寄りの駅やバス停まで歩ける?」
と考えてみます。
地域によっては、路線バスや鉄道だけでなく、コミュニティバス、乗合タクシー、高齢者向けの移動支援などが利用できる場合があります。
制度や利用条件は自治体によって異なるため、必要になってから初めて探すより、今住んでいる地域にどんな選択肢があるのかだけでも知っておくと役立ちます。
今すぐ車を手放す話ではありません。
運転しない生活になったときの選択肢を一つ持っておくという考え方で十分です。
6.家族以外の人とのつながりも残しておく
老後準備というと、お金や健康ばかりを考えてしまいます。
でも、私がこれから大切にしたいと思っているのが、人とのつながりです。
内閣府の高齢社会白書でも、高齢者の人付き合いや社会活動、社会との関わりについて調査されています。
仕事をしている間は、意識しなくても毎日のように誰かと話します。
ところが退職すると、職場で会っていた人との交流が一気に減ることもあります。
友人、近所の人、趣味の仲間、地域の活動など、家族以外にも気軽に話せる相手や居場所があることは、高齢期の暮らしを考えるうえで無視できない部分です。
何か大きな活動を始める必要はありません。
以前好きだった趣味をもう一度始める、友人との連絡を続ける、近所で参加できる活動を知っておく。
50代の今から仕事以外の時間を少しずつ持つことも、将来の暮らしにつながっていくのだと思います。
7.将来の医療や介護について家族と少しずつ話しておく
老後準備の中でも、つい後回しにしたくなるのが医療や介護のことです。
まだ元気な50代で、
「介護が必要になったらどうする?」
と考えるのは、少し早いように感じるかもしれません。
でも、具体的な介護施設や治療方法まで決める必要はありません。
例えば、
「もし一人で生活するのが難しくなったら、どんな暮らし方をしたいか」
「自分で医療について判断できなくなったとき、誰に相談してほしいか」
といった希望を家族と少し話しておくだけでも違います。
内閣府の「令和8年版高齢社会白書」でも、高齢社会対策として介護サービスや高齢者医療だけでなく、人生の最終段階における医療・ケアの体制整備などが取り上げられています。
人の気持ちは年齢や健康状態によって変わります。
そのため、一度決めたことをずっと守らなければならないと考えるのではなく、元気なうちから少しずつ話し、必要に応じて考え直していけばよいのではないでしょうか。
50代の老後準備は、一つ始めるだけでもいい
私自身、50代が近づくまでは「老後」という言葉をどこか遠く感じていました。
でも実際に調べてみると、老後準備は大きなお金を用意することだけではありませんでした。
今の暮らしを見直して、10年後、20年後に困りそうなことを少しずつ減らしていくことも、将来への備えになります。
私もまだ、老後の準備を始めたばかりです。
だからまずは、年金の見込額を確認するところから始めてみようと思っています。
その次に住まいや健康、これからの働き方について、一つずつ考えていくつもりです。
50代ですべてを決める必要はありません。
10年後、20年後の自分が困らないように、今できることを一つ見つける。
それが、老後準備の最初の一歩なのかもしれません。
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今回調べる中で参考にしたもの
内閣府「令和8年版高齢社会白書」
日本年金機構「『ねんきんネット』による年金見込額試算」
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
※老後に必要なお金や適した住まい、働き方、医療・介護についての考え方は、収入、家族構成、健康状態、居住地域などによって異なります。本記事は一般的な情報と筆者自身が50代を目前に感じたことをもとにまとめています。個別の年金や介護制度について確認したい場合は、日本年金機構、市区町村、地域包括支援センターなどの公的窓口もご活用ください。



