認知症予防のためにできることは?60代・70代から始めたい7つの生活習慣
9月は「認知症月間」です。厚生労働省では、毎年9月を認知症月間、9月21日を「認知症の日」としています。2026年も9月1日から30日まで認知症月間として、各地で認知症への理解を深める取り組みが行われます。
この時期になると、
「認知症予防のために、今からできることはある?」
「何を食べればいいの?」
「脳トレや散歩はしたほうがいい?」
と気になる方もいるのではないでしょうか。
年齢を重ねた家族のことを考えるようになると、私も「何か特別なことを始めなければいけないのかな」と考えることがあります。
でも、認知症対策について調べてみると、特別な健康食品や難しいトレーニングだけが大切なのではありません。
国立長寿医療研究センターでは、定期的な運動、バランスのよい食事、社会活動への参加、人との交流や外出などを組み合わせることが、認知症になるリスクを下げることにつながると紹介しています。
まずは、60代・70代から意識したいことを7つにまとめます。
① 無理のない範囲で体を動かす
② 魚や野菜などを取り入れ、バランスよく食べる
③ 人と話す・外に出る機会をつくる
④ 読書や趣味などで頭を使う
⑤ 血圧・血糖など普段の健康状態を管理する
⑥ 喫煙や飲みすぎを見直す
⑦ 聞こえにくさをそのままにしない
全部を一度に始める必要はありません。
今の生活を振り返って、「これなら一つできそう」と思えるものから始めてみるのが現実的です。
① 散歩などで無理なく体を動かす
認知症のリスクを減らすために、まず意識したいのが運動習慣です。
運動というと、スポーツジムへ通ったり、毎日長時間歩いたりしなければならないと思うかもしれません。
でも、普段あまり運動をしていない人なら、近所を少し散歩する、買い物のときに歩く、庭仕事をするなど、日常生活の中で体を動かす方法もあります。
国立長寿医療研究センターでも、定期的な運動習慣は認知症になる危険性を低くすることが報告されているとしています。
高齢になるほど、「健康のためだから」と急に頑張りすぎるのは避けたいところです。
足腰や心臓などに不安がある場合は、自分だけで運動量を決めず、医師などに相談しながら無理のない範囲で始めましょう。
② 魚や野菜を取り入れて、食事全体のバランスを見る
「認知症予防にいい食べ物は何?」と気になる方も多いと思います。
魚、野菜、果物などは認知症との関係が研究されていますが、ここで注意したいのは、一つの食品だけをたくさん食べればよいわけではないということです。
国立長寿医療研究センターも、単一の栄養素をサプリメントで取るだけではなく、野菜・果物・魚などを含めた食事全体のパターンが重要だと説明しています。また、高齢期は低栄養を避けることも大切としています。
毎日の献立で「認知症予防の特別食」を別に用意するのは大変です。
それより、
「今日は魚のおかずにしよう」
「野菜を一品追加しよう」
くらいなら、いつもの食事の延長で続けやすいのではないでしょうか。
食べる量が以前より減っている方は、認知症予防だけを意識して食事を厳しく制限するのではなく、必要な栄養をきちんと取ることにも気をつけたいところです。
③ 人と話す・外に出る機会を減らさない
年齢を重ねると、仕事を辞めたり外出の機会が減ったりして、一日の中で人と話す時間が少なくなることがあります。
一人で静かに過ごすこと自体が悪いわけではありません。
ただ、家族との電話、友人とのおしゃべり、近所の人との会話、趣味の集まりなど、人と関わる時間を持つことも大切な生活習慣の一つです。
国立長寿医療研究センターでは、社会活動への参加、人との交流、外出などが認知症になるリスクを低くすることに関連するとしています。また、社会的孤立も認知症に関係する要因として挙げられています。
「毎日誰かと会わなければ」と考える必要はありません。
最近あまり人と話していないと感じたら、家族に電話する、買い物に出る、好きな趣味の集まりを探してみるなど、自分に合った方法で十分です。
④ 読書や趣味など、楽しみながら頭を使う
認知症予防というと、「脳トレをしなくては」と考える人もいるかもしれません。
でも、頭を使う方法は計算問題だけではありません。
読書をする、料理をする、園芸を楽しむ、囲碁や将棋をする、手芸をする、新しいことを覚えるなど、普段の趣味にも頭を使う場面はたくさんあります。
WHOが2026年7月に公表した認知機能低下・認知症リスク低減の新しいガイドラインでも、健康行動や認知・社会活動などを含む複数の要素からリスクを考えることが示されています。
一方、国立長寿医療研究センターでは、携帯ゲームや算数ゲームだけで認知症の発症を防げたという報告はないと説明しています。
「脳にいいから」と無理に苦手なことをするより、自分が楽しく続けられることを見つけるほうが生活に取り入れやすそうです。
⑤ 血圧・血糖など普段の健康管理を続ける
認知症は脳だけを気にしていればよいわけではありません。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、認知症のリスクに関連する要因として知られています。WHOの2026年版ガイドラインでも、認知症リスクの低減には健康的な生活習慣とともに、関連する健康状態を適切に管理することが含まれています。
健康診断で血圧や血糖について指摘されているのに、「年だから仕方ない」とそのままにしてしまうのは避けたいところです。
定期的に健診を受け、治療中の方は自己判断で薬をやめたりせず、かかりつけ医と相談しながら管理を続けましょう。
⑥ たばこと飲みすぎを見直す
喫煙や過度な飲酒も、見直したい生活習慣です。
国立長寿医療研究センターでは喫煙を認知症に関係する因子の一つとして挙げています。WHOも、たばこやアルコールなどを含む生活習慣を認知症リスク低減の対象として取り上げています。
特にお酒については、
「赤ワインなら認知症予防になる」
「健康のために飲んだほうがいい」
などと考えて、新たに飲み始める必要はありません。
お酒を飲む習慣がある方は、量が増えていないかを振り返ってみる程度からでもよいでしょう。
⑦ 聞こえにくさをそのままにしない
もう一つ、意外と見落としやすいのが「聞こえ」です。
テレビの音量が以前より大きくなった、家族との会話で聞き返すことが増えた、といった変化は年齢とともに起こることがあります。
難聴は認知症に関連するリスク要因の一つとして研究されており、国立長寿医療研究センターも難聴と認知症の関係について紹介しています。
ただし、耳が聞こえにくいから認知症になる、という意味ではありません。
聞こえづらくなることで会話や外出を避けるようになり、人との交流が減ってしまうこともあります。
「年齢のせいだから」と我慢せず、聞こえにくさが気になる場合は耳鼻咽喉科などで相談することも考えてみましょう。
認知症予防は一つだけ頑張るより、生活全体を見る
ここまで7つ紹介しましたが、どれも特別なことではありません。
歩く。
食べる。
人と話す。
好きなことを続ける。
健康状態を確認する。
こうして見ると、認知症のリスクを減らすためにできることは、毎日の暮らしそのものを整えることにつながっています。
国立長寿医療研究センターも、運動・食事・社会参加などを一つだけではなく組み合わせて行うことが効果的としています。
「毎日これをしなければ」と細かなルールを増やしすぎると、かえって続かなくなることもあります。
私自身、家族の健康について考えるときも、特別な健康法を一つ探すより、普段の食事や外出、人との会話などを振り返るほうが現実的だと感じます。
認知症予防だけのためではなく、これからの毎日を元気に過ごすための習慣と考えると、少し取り組みやすくなります。
今日から始めるなら、この3つから
「7つ全部は覚えられない」という方は、まず次の3つだけでも十分です。
いつもより少し多く歩く。
散歩でなくても、買い物や家の中の片づけなど、体を動かす機会を少し増やします。
いつもの食事に魚や野菜を一品加える。
特別な健康食品を探す前に、普段の食事を少しだけ見直してみましょう。
家族や友人と話す時間をつくる。
電話でも構いません。「最近どうしてる?」と話すことも、人とのつながりを保つ一歩です。
一度に生活を変える必要はありません。
一つが習慣になったら、次にできそうなことを加えていけば十分です。
60代・70代からでも、できることを一つずつ
認知症には年齢や遺伝など、自分では変えることが難しい要因もあります。
そのため、今回紹介した7つを実践すれば、認知症を必ず防げるというものではありません。
一方で、運動不足、喫煙、社会的孤立、高血圧や糖尿病など、生活の中で見直せる要因があることも分かってきています。WHOは2026年の新ガイドラインで、認知症のリスク低減について健康行動や健康状態を含む複数の観点から対策する重要性を示しています。
9月の「認知症月間」をきっかけに、自分の生活を少し振り返ってみるのもよいかもしれません。
「最近あまり歩いていないから、今日は少し外へ出よう」
「今夜は魚のおかずにしよう」
「久しぶりに友人へ電話してみよう」
そんな小さな一つから始めれば十分です。
認知症予防のためだけに頑張るのではなく、これからも自分らしく暮らしていくための習慣として、無理なく続けられることを選んでいきたいですね。
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👉親が同じ話を何度もするのは認知症?年齢による物忘れとの違いと相談の目安
今回調べる中で参考にしたもの
・厚生労働省「認知症の日/認知症月間(令和8〈2026〉年度)」
・厚生労働省「令和8年度(2026年度)年間行事予定」
・国立長寿医療研究センター「認知症の予防」 (Nihon Kankyō Gakkai)
・国立長寿医療研究センター「認知症の予防 よくある質問・Q&A」
・国立長寿医療研究センター「耳が聞こえにくいと認知症になりやすい?」
・World Health Organization「Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines, second edition」2026年7月15日 (世界保健機関)

