最近、瓶のふたが開けにくい…握力が落ちた?高齢者が自宅でできる対策
以前なら何も考えずに開けていた瓶のふたが、最近やけに固く感じる。
ペットボトルのキャップを開ける時も、一度で回せず持ち直すことが増えた。
こんな小さな変化があると、「握力が落ちてきたのかな」「少し運動したほうがいいのかな」と気になることがあります。
瓶のふたが開けにくいからといって、必ずしも加齢による握力低下とは限りません。ふたそのものが固い場合もあれば、手が乾燥して滑りやすい、指や手首が動かしにくいといった理由もあります。
ただ、以前より「握る・つまむ・ひねる」動作がしにくくなったと感じるなら、手だけでなく普段の筋力や活動量を見直すきっかけにはなります。
痛みや腫れなどがなければ、無理のない範囲で手を動かす習慣を取り入れてみてもよいでしょう。一方、突然片側の手や腕に力が入らなくなった場合は、単なる握力低下として様子を見る症状ではありません。
瓶のふたが開けにくい=握力低下とは限らない
瓶を開ける時には、ただ強く握っているわけではありません。
片方の手で瓶を支え、もう片方の指でふたをつかみ、手首をひねります。ふたと指が滑らないことも必要です。
そのため、瓶のふただけで「握力が落ちた」と判断することはできません。
一方で、
・ペットボトルのキャップも開けにくくなった
・ぬれたタオルを絞りにくくなった
・袋や食品パックを指で開けにくい
・洗濯ばさみをつまみにくくなった
・物を以前より落とすことが増えた
など、ほかの日常動作でも同じような変化を感じるなら、一度手や体の状態に目を向けてみてもよいでしょう。
「この瓶だけ固い」のか、「いろいろな物を扱いにくくなっている」のかを比べてみると分かりやすくなります。
握力は年齢とともに少しずつ変化する
国立長寿医療研究センターでは、長期間にわたる地域住民の測定データから、握力は年齢とともに緩やかに低下する傾向があると紹介しています。
ただし、その変化が年齢に伴う平均的な範囲なのか、それとも注意したほうがよい低下なのかを、日常生活だけで判断するのは簡単ではありません。
握力は、高齢期の身体機能を見る一つの指標としても使われています。
フレイルの評価に使われる日本版CHS基準でも「筋力低下」は項目の一つですが、握力だけでフレイルかどうかを決めるわけではありません。
体重減少、疲れやすさ、歩く速さ、普段の活動量など、複数の項目を合わせて確認します。
そのため、「瓶が開けにくくなったからフレイルかもしれない」と必要以上に心配するより、以前と比べて生活動作全体に変化がないかを見るほうが現実的です。
握力が気になったら、軽く手を動かすところから
手や指に痛みや腫れがなく、少しずつ力が弱くなったように感じる場合は、生活の中で手を動かす機会を増やしてみる方法があります。
たとえば、やわらかいボールや丸めたタオルを手のひらで軽く握り、ゆっくり力を抜く動きなら、自宅でも始めやすいでしょう。
強く握り続ける必要はありません。
回数や強さを一律に決めるのではなく、痛みが出ない範囲から始めます。指や手首が痛くなった場合は、そのまま続けず一度休みましょう。
また、「握力が気になるから手だけ鍛えればよい」とも限りません。
散歩や椅子からの立ち座りなど、普段から全身を動かすことも身体機能を保つうえで役立ちます。
手の運動だけに集中するより、最近外出する機会が減っていないか、座っている時間が増えていないかなど、毎日の活動量も一緒に振り返ってみるとよいでしょう。
固い瓶のふたは道具に頼ってもいい
固いふたほど、「もう少し力を入れれば開く」と何度も挑戦したくなります。
でも、手が痛くなるまで頑張る必要はありません。
ふたを開けやすくするゴム製のオープナーや滑り止めシートを使うと、少ない力で回せることがあります。
瓶や手が濡れている時は水分を拭き取るだけでも滑りにくくなります。
それでも開かない時は、周囲に頼んでも構いません。
「自分の力だけで開けなければ」と無理をする必要はありません。
便利な道具で暮らしの負担を減らすことと、体を動かす習慣をつくることは別に考えて大丈夫です。
急に片手の力が入らなくなった時は注意
徐々に瓶のふたが開けにくくなった場合と、突然片側の手や腕に力が入らなくなった場合では意味が違います。
特に、
・突然、片方の手や腕に力が入らない
・顔の片側がゆがむ
・ろれつが回りにくい、言葉が出にくい
・片側の手足がしびれる
といった症状が急に現れた場合は、脳卒中など緊急性のある病気の可能性があります。
厚生労働省も、突然の片側の手足の脱力や言葉の異常などを、迷わず救急車を呼ぶべき症状として案内しています。
このような時は「握力が落ちただけ」と考えて様子を見続けず、119番へ連絡してください。
一方、急ではなくても、手指や手首の痛み・腫れが続く、物を落とすことが増えた、しびれが続くといった場合は、医療機関へ相談しましょう。
よくある質問
Q. 瓶のふたが開けにくくなったら、握力トレーニングをしたほうがいいですか?
痛みや腫れがなく、以前より少し力が弱くなったと感じる場合は、無理のない範囲で手を動かす習慣を取り入れる方法があります。
ただし、瓶が開けにくい原因がすべて握力低下とは限りません。
指や手首に痛みがある場合や、しびれが続く場合は、運動を続ける前に医療機関へ相談してください。
Q. 握力器がなくても運動できますか?
専用の握力器がなければ運動できないわけではありません。
やわらかいボールや丸めたタオルなど、無理なく握れる物を使う方法もあります。
強い負荷をかけるより、痛みを出さず続けられることを優先しましょう。
Q. 握力が弱いとフレイルですか?
握力は身体機能を見る一つの指標ですが、握力だけでフレイルかどうかを判断するわけではありません。
日本版CHS基準でも、筋力低下だけでなく、体重減少、疲労感、歩行速度、身体活動など複数の項目を合わせて評価します。
瓶のふたが開けにくいという一つの変化だけで、フレイルだと決めつける必要はありません。
「前よりやりにくい」は体を見直すきっかけになる
瓶のふたが開かない日は、「今日は特に固かっただけ」ということもあります。
でも、ペットボトルのキャップ、タオル絞り、袋を開ける動作などでも同じような変化を感じるようになったら、最近の手の使い方や活動量を振り返ってみてもよいでしょう。
固いふたと毎回格闘する必要はありません。オープナーなどを使って生活の負担を減らしながら、痛みのない範囲で手や体を動かしていけば十分です。
一方で、突然片側の手や腕に力が入らなくなった場合は話が別です。顔のゆがみや言葉の異常などを伴う場合は、すぐに119番へ連絡してください。
少しずつ感じる「前よりやりにくい」という変化は、必要以上に怖がるものではありません。
まずは、毎日の暮らしの中で無理なく続けられることからで十分です。
※本記事は一般的な健康情報をまとめたものです。運動の適切な内容や強度は、体力、病気、けがなどによって異なります。治療中の方や手指・手首に症状がある方は、医師や理学療法士などの専門職へご相談ください。
参考資料
・国立長寿医療研究センター「すこやかな高齢期をめざして―体重や握力の平均的な加齢変化」
・国立長寿医療研究センター「日本版CHS基準(J-CHS基準)」
・国立長寿医療研究センター「ロコモフレイルセンター」
・厚生労働省「こんな症状があったらすぐに救急車を呼びましょう」



