高齢者が利用できる支援制度とは?介護・医療・住まいで困ったときの相談先

親が年齢を重ねるにつれて、介護や医療、住まいにかかるお金が気になることがあります。

私も家族のこれからを考える中で、「日本では高齢者が困ったとき、どんな支援を利用できるのだろう」と調べるようになりました。

高齢者向けの支援制度について確認するシニア夫婦

実際には、介護保険だけではありません。

介護サービス、医療費、住宅改修、福祉用具、補聴器、見守り、移動支援など、生活のさまざまな場面で利用できる仕組みがあります。

ただし、すべての高齢者が同じ制度を利用できるわけではありません。年齢だけでなく、要支援・要介護認定、所得、障害の有無、住んでいる自治体などによって条件が変わります。

「自分は何に当てはまるのか分からない」という場合は、制度名を調べ続けるより、まず地域包括支援センターや市区町村の担当窓口へ相談するほうが分かりやすいでしょう。

高齢者が利用できる主な支援制度をまず確認

主な制度を大きく分けると、次のようになります。

困っていること確認したい制度・サービス主な相談先
介護が必要になった介護保険サービス市区町村・地域包括支援センター
医療費が高くなった高額療養費制度など加入している健康保険
自宅の段差や手すり介護保険の住宅改修ケアマネジャー・市区町村
車いすや歩行器が必要福祉用具貸与・販売ケアマネジャー・福祉用具事業者
補聴器が必要補装具費支給制度・自治体独自助成市区町村
一人暮らしが心配見守り・配食・緊急通報市区町村
通院や買い物が大変福祉タクシー・移動支援など市区町村

制度名を全部覚える必要はありません。

「今、何に困っているのか」から相談先を探すと、必要な制度にたどり着きやすくなります。

介護が必要になったら介護保険を確認

65歳以上の方は、要支援・要介護認定を受けた場合、原因を問わず介護保険サービスを利用できます。

訪問介護、デイサービス、ショートステイなどのほか、自宅での生活を支える福祉用具や住宅改修も介護保険の対象になることがあります。

介護保険を利用するには、市区町村へ要支援・要介護認定を申請するのが基本です。地域包括支援センターに相談して、今の生活で困っていることから話を始めることもできます。

「まだ介護というほどではない」と感じる段階でも、買い物や入浴、掃除など、以前は普通にできていたことが負担になってきたら、一度相談してみてもよいでしょう。

入院や手術で医療費が高くなったときに使える制度

医療費が高くなったときに確認したいのが、高額療養費制度です。

1か月に医療機関や薬局で支払った自己負担額が、年齢や所得に応じて決められた上限を超えた場合、その超過分が支給される仕組みです。

自己負担限度額や制度の取り扱いは変更されることがあるため、実際に利用する際は、厚生労働省や加入している健康保険の最新情報を確認してください。

また、1年間に支払った医療費が一定の条件を満たす場合は、医療費控除を利用できることもあります。

ただし、高額療養費制度と医療費控除は別の仕組みです。

手すりや段差解消には住宅改修費を利用できる場合がある

玄関や浴室の段差、廊下や階段の手すりなど、自宅の環境を変えたいときは、介護保険の住宅改修が使える場合があります。

対象となる主な工事には、

  • 手すりの取り付け

  • 段差の解消

  • 滑りにくい床材への変更

  • 引き戸などへの扉の交換

  • 洋式便器への取り替え

などがあります。

支給限度基準額は原則として20万円で、保険給付は原則9割、所得に応じて8割または7割です。厚生労働省では、住宅改修について原則として工事前に市区町村へ申請し、工事後に領収書などを提出する仕組みを案内しています。

親の家を見ていると、「ここに手すりがあれば少し楽になりそう」「この段差は以前より負担かもしれない」と感じる場所があります。

ところが、制度を調べる前は、先に工事を済ませてから申請すればよいわけではないことを私も知りませんでした。

住宅改修を考え始めたら、見積もりや工事を進める前に、まずケアマネジャーや市区町村へ相談しておくほうが安心です。

車いすや歩行器は買う前に福祉用具を確認

車いす、特殊寝台、歩行器、手すりなどは、身体の状態や要介護度に応じて介護保険で借りられる場合があります。

一方、入浴用いすや腰掛便座など、ほかの人が使用したものを再利用しにくい用具は「特定福祉用具」として購入費の支給対象になることがあります。

特定福祉用具の購入費は、同一年度で10万円までが支給限度額です。利用者負担が1割の方なら、対象額の9割が介護保険から給付される仕組みです。

必要になったからとすぐ購入するのではなく、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談して、身体の状態や住まいに合うものを選ぶほうがよいでしょう。

補聴器には全国制度と自治体独自の助成がある

聞こえにくさが気になっても、高齢であるという理由だけで全国一律の補聴器助成を受けられるわけではありません。

身体障害者手帳の対象となる方など、補装具費支給制度の条件を満たす場合は、補聴器の購入や修理にかかる費用が支給対象になることがあります。

厚生労働省の補装具費支給制度では、原則として費用の1割が利用者負担となり、所得に応じた月額負担上限も設けられています。対象者や申請方法については市区町村で確認できます。

これとは別に、身体障害者手帳を持っていない高齢者を対象に、独自の補聴器購入助成を設けている自治体もあります。

対象年齢、聴力の条件、助成額などは地域によって異なるため、住んでいる市区町村の情報を確認してみましょう。

一人暮らしを支える見守り・配食サービス

高齢者の一人暮らしを支える制度は、全国一律ではありません。

自治体によっては、

  • 緊急通報装置

  • 電話や訪問による安否確認

  • 配食サービス

  • 見守り機器

などを用意していることがあります。

本人の年齢だけでなく、一人暮らしかどうか、家族の状況、要介護認定、所得などが利用条件になっている場合もあります。

「まだ介護サービスは必要ないけれど、一人で暮らしているのが少し心配」という段階なら、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターへ相談してみる方法があります。

通院や買い物の「移動」を助ける自治体サービス

運転免許を返納したあとや、足腰が弱くなったときは、通院や買い物の移動が負担になることがあります。

自治体によっては、

  • 福祉タクシー券

  • 乗合タクシー

  • コミュニティバスの割引

  • 外出支援サービス

などを設けています。

ただし、これも全国共通ではありません。

高齢であることだけでは利用できず、障害者手帳、要介護認定、所得、居住地域などの条件が設定されている場合があります。

住んでいる自治体のホームページで「高齢者 移動支援」「福祉タクシー」などと検索すると見つけやすくなります。

制度を使う前に「先に相談」が大切

高齢者向けの支援制度で特に気をつけたいのが、購入や工事を先に済ませないことです。

住宅改修や福祉用具、補聴器などは、利用する制度によって申請の順番や対象となる事業者が決められていることがあります。

相談するときは、次の内容が分かると話が進みやすくなります。

  • 本人の年齢と住所

  • 要支援・要介護認定の有無

  • 身体障害者手帳の有無

  • 現在困っていること

  • 購入・工事を考えているもの

  • すでに契約や購入をしているか

制度の名前が分からなくても大丈夫です。

「浴室に手すりを付けたい」

「車いすが必要になった」

「医療費が高くなった」

というように、今困っていることをそのまま伝えるところから始められます。

高齢者向け支援制度を利用する前の確認手順

よくある質問

高齢者なら誰でも支援制度を利用できますか?

制度によって条件が異なります。

年齢だけで利用できるものもあれば、要支援・要介護認定、障害者手帳、所得、世帯状況などが条件になるものもあります。

住んでいる自治体や制度の担当窓口で確認してください。

どこへ相談すればよいか分からないときは?

介護や高齢者の生活全般については、地域包括支援センターが相談先の一つです。

医療費については加入している健康保険、税金については税務署など、内容によって相談先が変わります。

まず何に困っているのかを伝えれば、適切な窓口を案内してもらえる場合もあります。

支援制度は申請すれば必ず利用できますか?

必ず利用できるとは限りません。

制度ごとに対象条件や審査があり、自治体独自の制度は地域によって内容も異なります。

また、購入や工事をした後では対象にならない場合もあるため、行動する前に確認しておくことが大切です。

困ったときに「どこへ相談できるか」だけでも知っておく

高齢者向けの支援は、介護だけではありません。

医療費、自宅の改修、福祉用具、補聴器、見守り、移動など、生活の困りごとごとに利用できる仕組みがあります。

私も調べる前は、「介護が必要になってから使う制度」が中心なのだと思っていました。

でも実際には、家の段差が気になる、聞こえにくくなった、一人暮らしが不安になったなど、もっと日常に近いところから相談できる制度もあります。

全部の制度を覚えておく必要はありません。

困ったときに、地域包括支援センターや市区町村へ相談できることを知っておくだけでも十分です。

あわせて読みたい

医療費の負担を軽くする制度について詳しく知りたい方は、高額療養費制度と医療費控除の違いをこちらの記事で整理しています。

👉 医療費が戻る制度とは?高額療養費制度と医療費控除の違いをわかりやすく解説

※制度の対象条件、自己負担、助成内容は変更される場合があります。実際に申請・購入・工事を行う際は、厚生労働省、加入している健康保険、お住まいの市区町村などの最新情報をご確認ください。

参考資料

  • 厚生労働省「介護保険制度」

  • 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

  • 厚生労働省「補装具費支給制度の概要」

  • 介護サービス情報公表システム「特定福祉用具販売」

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