高齢者が薬を飲み込みにくいのはなぜ?錠剤が喉に残るときの注意点と相談の目安
以前は何も気にせず飲めていた錠剤が、最近になって「喉に残る感じがする」「前より飲みにくい」と感じることはありませんか。
薬が飲みにくくなる理由は一つではありません。錠剤やカプセルの大きさ・形、口の中の乾燥、体調、飲むときの姿勢などが影響することもあります。
年齢とともに口や喉の働きが変化することもありますが、一度薬が飲みにくかっただけで、すぐに病気や加齢が原因だと考える必要はありません。
ただし、何度も薬が喉に残る、水やお茶でもむせる、食事中のせき込みが増えたといった変化が続く場合は、飲み込みの機能が関係していることもあります。
私自身も先日、頭痛がして鎮痛剤を飲んだあと、薬が喉の途中に残っているような感覚が続いたことがありました。
いつもと同じように水で飲んだのに、なぜか喉のあたりが気になります。心配になって何度か水を飲み、しばらくすると違和感はなくなりましたが、「以前はこんなことはなかったのに」と少し驚きました。
食事や水分には困っていなかったため、なぜ錠剤だけが引っかかったように感じたのかも気になりました。
そこで今回は、高齢になると薬が飲みにくくなることがある理由や、錠剤が喉に残る感じがするときに確認したいこと、薬を自己判断で砕いてはいけない理由、医師や薬剤師へ相談する目安について調べました。
薬を飲み込みにくくなる理由は一つではない
食べ物や飲み物を口から喉、食道を通して胃へ送り込む動作を「嚥下(えんげ)」といいます。
普段は意識することの少ない動作ですが、飲み込むときには舌や喉、その周りの筋肉や神経など、いくつもの機能が連携して働いています。
年齢を重ねるにつれて、口や喉の状態、筋力などに変化がみられる人もいます。
ただし、高齢になれば誰でも飲み込みにくくなるわけではありません。
錠剤やカプセルが飲みにくい背景には、
・薬の大きさや形
・口の中の乾燥
・飲むときの姿勢
・その日の体調
・飲み込みに関わる機能の変化
など、さまざまな要因が考えられます。
また、服用している薬の種類によっては、口の乾燥などを通して飲み込みに影響する場合もあります。
そのため、「年齢のせいかな」と一つの理由だけで決めつけるより、どんな薬を飲んだときに起こるのか、いつ頃から気になるようになったのかを覚えておくと、相談するときにも役立ちます。
食事はできるのに錠剤だけ飲みにくいこともある
私が調べていて意外だったのは、普通に食事ができる人でも、錠剤やカプセルだけ飲みにくいことがあるという点でした。
薬を飲むときには、口の中に錠剤を保持しながら、水分と一緒に適切なタイミングで飲み込む必要があります。
食べ物とは大きさや形、口の中での動き方も違います。
そのため、食事には困っていなくても、錠剤やカプセルだけ飲みにくいということはあります。
私自身も、普段の食事や水では特に困っていなかったため、鎮痛剤だけが喉に残ったように感じたときは不思議でした。
食事が普通にできていることだけで判断せず、薬を飲んだときに以前とは違う感覚が続いていないかを見ることも必要なのだと思います。
薬の飲み込みにくさで確認したい変化
一度だけ薬が引っかかったように感じても、その後問題なく飲食できて症状が治まれば、過度に心配する必要はないでしょう。
一方で、次のような変化が繰り返される場合は、かかりつけ医などに伝えてみるのも一つです。
・錠剤やカプセルが何度も喉に残る感じがする
・水やお茶を飲んだときにもむせる
・食事中のせき込みが以前より増えた
・食べ物を飲み込んだあとも喉に残る感じがする
・食事のあとに声がガラガラすることがある
・食事に以前より時間がかかる
・食事量が減ったり、体重が減ったりしている
こうした症状があるからといって、必ず嚥下障害があるという意味ではありません。
それでも、「前とは少し違うな」と感じる状態が続いているのであれば、年齢だけの問題として片づけず、一度相談してみると原因を確認するきっかけになります。
飲みにくい錠剤を自己判断で割ったり砕いたりしない
錠剤が大きいと、
「半分にすれば飲めるのでは」
「粉にすれば楽なのでは」
と思うことがあります。
しかし、飲みにくいからという理由だけで、薬を自己判断で割ったり砕いたり、カプセルを開けたりするのは避けたほうがよいでしょう。
薬の中には、成分が少しずつ放出されるように作られているものや、胃ではなく腸で溶けるよう工夫されているものがあります。
こうした薬を本来とは違う形にすると、効き方が変わったり、安全性に影響したりする可能性があります。
基本は、
「飲みにくい → 自分で形を変える」ではなく、
「飲みにくい → 医師や薬剤師に相談する」
です。
薬によっては、小さい錠剤や口の中で崩れるタイプ、粉薬、液体の薬など、別の剤形に変更できる場合もあります。
ただし、変更できるかどうかは薬ごとに異なります。
毎日飲む薬だからこそ、「これくらいなら我慢しよう」と思わず、飲みにくさそのものを薬剤師に伝えてみてください。
薬剤師に相談するときは何を伝えればいい?
薬局や病院で相談するときに、難しい説明をする必要はありません。
まずは、
「最近、この薬が飲みにくいです」
「飲んだあと喉に残る感じがあります」
と伝えるだけでも十分です。
できれば、次のようなことも一緒に伝えると状況を理解してもらいやすくなります。
・どの薬が飲みにくいのか
・大きい錠剤だけなのか
・カプセルも飲みにくいのか
・飲んだあとに痛みや違和感があるか
・水や食事でもむせることがあるか
・いつ頃から気になり始めたのか
・毎回なのか、ときどきなのか
処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントを使用している場合も一緒に伝えておくとよいでしょう。
お薬手帳を使っている人は、相談するときに持っていくと、現在使っている薬をまとめて確認してもらいやすくなります。
すぐに対応が必要な症状もある
「錠剤が少し飲みにくい」という状態と、窒息が疑われる状態は分けて考える必要があります。
薬や食べ物を飲み込んだ直後に、
・呼吸が苦しい
・声が出せない
・十分に息ができない
といった状態がある場合は、通常の飲みにくさとは異なり、緊急性があります。
このような場合は、救急要請を含めた緊急の対応が必要です。
また、緊急性はなくても、
・薬や食べ物が頻繁に引っかかる
・水分でもむせることが増えた
・飲み込むときに痛みがある
・食事量が少なくなってきた
・理由がはっきりしない体重減少がある
といった変化が続いている場合は、かかりつけ医などに相談してみてください。
症状によっては、耳鼻咽喉科や飲み込みの機能を詳しく調べる医療機関などにつないでもらえることもあります。
「以前は平気だった」と見過ごさない
今回、鎮痛剤が喉に残ったように感じたことで、私は初めて「薬を飲み込む」という普段何気なくしている動作を意識しました。
一度飲みにくかったからといって、すぐに病気や加齢のせいだと思う必要はありません。
錠剤の大きさや口の乾燥、その日の体調などが影響した可能性もあります。
ただ、同じことが何度も起きたり、水や食事でもむせるようになったりしたときは、「前とは少し違うな」と感じたこと自体を見過ごさないようにしたいと思いました。
そして、飲みにくい薬を自己判断で砕いたり、カプセルを開けたりしないことも覚えておきたいところです。
私もまた同じことが起きたら、「水をたくさん飲めば大丈夫」と自分だけで済ませず、薬剤師に
「この薬、最近少し飲みにくいのですが」
と聞いてみようと思っています。
あわせて読みたい
👉 高齢者の薬の飲み忘れ対策。父が薬袋に引く一本の線から考えました
参考資料
国立長寿医療研究センター
「薬剤の内服と摂食嚥下機能障害~言語聴覚士の立場から~」
国立長寿医療研究センター
「食事中にむせませんか?」
国立長寿医療研究センター
「物を食べた時にむせる原因は?」
国立長寿医療研究センター
「在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
「PMDA医療安全情報 No.65 徐放性製剤の取扱い時の注意について」
※この記事は一般的な情報をもとにまとめたものです。薬の飲み方や症状について気になることがある場合は、自己判断で薬を変更せず、医師や薬剤師などの専門家に確認してください。



