高齢者が薬を飲み込みにくいのはなぜ?錠剤が喉につかえる原因と注意点

以前は何も気にせず飲めていた錠剤が、最近になって飲み込みにくくなった。そんな変化を感じることはありませんか。

錠剤を飲んだあと喉の違和感に気づく女性

先日、私も頭痛がして鎮痛剤を飲んだとき、少し驚くことがありました。

いつものように錠剤を水で飲んだのですが、そのあとも薬が喉の途中に残っているような感覚が続いたのです。心配になって水を何度も飲みましたが、しばらく喉のあたりが気になりました。

以前はこのようなことがほとんどなかったのに、最近は時々似たような感覚があります。

「これも年齢と関係があるのだろうか」と気になり、高齢者が薬を飲み込みにくくなる理由や、注意したい症状について調べてみました。

薬が喉につかえるのは年齢のせい?

薬が一度飲みにくかったからといって、すぐに加齢や病気が原因だと決めつける必要はありません。

錠剤の大きさや形、口の中の乾燥、その日の体調、飲むときの姿勢などが影響する可能性もあります。

ただし、次のような変化が繰り返される場合は注意が必要です。

薬の飲み込みにくさで確認したい四つの変化

・錠剤が何度も喉につかえる
・水やお茶を飲んだときにもむせる
・食事中のせき込みが増えた
・飲み込んだあとも喉に残っている感じがする
・食事のあとに声がガラガラする

国立長寿医療研究センターでは、食事中のむせや、喉に食べ物が残った感覚などは、飲み込みの機能に問題があるときにみられる症状の一つとして紹介しています。

以前との違いが続くようであれば、「年齢のせいだから仕方がない」と済ませず、かかりつけ医などに相談すると安心です。

年齢とともに飲み込む力も変化する

食べ物や飲み物、薬などを口から胃へ送り込む動作を「嚥下(えんげ)」といいます。

飲み込むときには、舌や喉、その周りの筋肉や神経が連携して働いています。普段は意識せずに行っていますが、実際には多くの機能が関わる複雑な動作です。

年齢を重ねると、体力や筋力だけでなく、口や喉の機能にも変化が生じることがあります。ただし、年を取れば誰でも必ず薬を飲み込めなくなるわけではありません。

大切なのは、以前は問題なくできていたことに変化が出ていないかを意識することです。

薬だけでなく、水や食事でもむせることが増えた場合は、飲み込みの機能が低下している可能性も考えられます。

食事はできるのに薬だけ飲みにくいこともある

私が調べていて意外に感じたのは、食事を普通に食べられる人でも、錠剤だけは飲みにくいことがあるという点でした。

国立長寿医療研究センターによると、薬を飲むときには、錠剤を口の中に保持しながら適切なタイミングで飲み込む必要があります。

さらに、水分と錠剤という性質の違うものを同時に扱うため、薬の服用には、水だけを飲んだり食事をしたりするときより高度な嚥下機能が必要になる場合があります。

この説明を読んで、私自身が「食事は普通にできるのに、なぜ薬だけが引っかかったのだろう」と感じたことにも、理由があるのだとわかりました。

食事に困っていないからといって、薬の飲み込みにくさを無視してよいとは限らないようです。

飲みにくい錠剤を勝手に砕いてもいい?

錠剤が大きいと、「半分に割れば飲みやすいのでは」「粉にすればよいのでは」と考えることがあります。

しかし、薬を自己判断で割ったり、砕いたり、カプセルを開けたりするのは避けたほうがよいでしょう。

薬のなかには、体内でゆっくり成分が出るように作られているものや、胃ではなく腸で溶けるように工夫されたものがあります。形を変えることで、薬の効き方や安全性に影響する可能性があります。

国立長寿医療研究センターの資料でも、錠剤を粉砕するときは、薬効が変わらないか薬剤師への確認が必要だと説明されています。

飲みにくさが続く場合は、自分で薬の形を変える前に、医師や薬剤師へ相談しましょう。

薬によっては、小さい錠剤、顆粒、口の中で溶ける錠剤、液体の薬、貼り薬など、別の形に変更できることがあります。ただし、すべての薬で変更できるわけではないため、専門家による確認が必要です。

薬剤師に相談するときは何を伝える?

薬の飲みにくさについて薬剤師に相談する女性

薬局や病院で相談するときは、単に「飲みにくい」と伝えるだけでも構いません。

さらに、次のような点を具体的に伝えると、状況を理解してもらいやすくなります。

・大きい錠剤だけ飲みにくい
・カプセルが喉に残る感じがする
・飲んだあとに痛みや違和感がある
・水やお茶でも時々むせる
・いつ頃から気になるようになったか
・毎回ではなく、時々起こる

現在飲んでいる薬をまとめて確認してもらうことも大切です。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントを使っている場合も一緒に伝えましょう。

「この程度で相談してよいのかな」と遠慮する必要はありません。毎日飲む薬だからこそ、無理なく続けられる方法を確認しておくことが大切です。

すぐに対応が必要な場合もある

一度だけ薬が引っかかったように感じても、その後普通に水や食事を取れていて症状が治まった場合は、慌てすぎる必要はないでしょう。

ただし、薬や食べ物を飲み込んだあとに呼吸が苦しくなった、声が出せない、激しくせき込む、唾液も飲み込めないといった場合は、通常の飲みにくさとは異なります。

このような症状があるときは、早急な対応が必要になる可能性があります。

また、緊急性がなくても、薬や食べ物が頻繁に引っかかる、むせが増えた、体重が減ってきたなどの変化があれば、かかりつけ医や耳鼻咽喉科などに相談しましょう。

国立長寿医療研究センターでも、食事や水分でむせる人について、専門の医療機関で相談することを勧めています。

以前は平気だったからと見過ごさない

今回、鎮痛剤が喉に残ったように感じたことで、私は初めて「薬を飲み込む」という動作について意識しました。

今まで普通にできていたことは、これからもずっと同じようにできると思ってしまいがちです。そのため、少し飲みにくくなっても、つい見過ごしてしまうかもしれません。

一度だけなら錠剤の大きさや体調が影響した可能性もあります。しかし、同じことが繰り返されたり、水や食事でもむせたりするようになった場合は、小さな変化として覚えておきたいところです。

また、飲みにくいからといって薬を自己判断で砕いたり、カプセルを開けたりするのは避け、医師や薬剤師に相談しましょう。

私も次に同じことが起きたら、「水をたくさん飲めば大丈夫」と自分だけで判断せず、薬剤師に薬の大きさや飲み方について聞いてみようと思っています。 

あわせて読みたい

👉高齢者の薬の飲み忘れ対策。父が薬袋に引く一本の線から考えました

参考資料

国立長寿医療研究センター
「薬剤の内服と摂食嚥下機能障害~言語聴覚士の立場から~」

国立長寿医療研究センター
「食事中にむせませんか?」

国立長寿医療研究センター
「物を食べた時にむせる原因は?」

国立長寿医療研究センター
「正月は餅の窒息に注意!!」

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