葬儀にはいくらかかる?死亡保険で準備する必要はある?
「自分が亡くなったあと、葬儀のお金くらいは家族に残しておきたい」
60代、70代になると、そんなことを考える機会も増えてきます。
私も死亡保険について調べているうちに、「そもそも葬儀にはいくら必要なのだろう」と気になりました。
葬儀費用の全国平均は、調査によって金額や含まれる項目が異なります。
公益財団法人生命保険文化センターが紹介している2024年の全国調査では、葬儀にかかった費用の平均総額は約119万円でした。これはあくまで平均で、実際の費用は葬儀の形式や人数、地域などによって大きく変わります。
そして、葬儀費用を準備する方法は死亡保険だけではありません。
預貯金や死亡保険、公的な給付などを合わせて考え、家族が必要なときに使えるお金を準備しておくことが大切です。
葬儀にはいくらくらいかかる?
葬儀には、
一般葬
家族葬
一日葬
直葬・火葬式
など、さまざまな形式があります。
前述の2024年調査では葬儀費用の平均総額は約119万円ですが、「自分も120万円くらい用意すればよい」という意味ではありません。
家族だけで小さく行う場合と、多くの人に参列してもらう場合では必要な金額が違います。
まず平均額を見るより、
「自分はどんな葬儀を希望するのか」
を家族と話しておくほうが、実際に必要な金額を考えやすくなります。
葬儀費用は広告の「○万円」だけでは決まらない
私自身、以前は「葬儀代」と聞くと、式場や祭壇などにかかる費用を思い浮かべていました。
しかし実際には、搬送、安置、ドライアイス、火葬、飲食、返礼品など、さまざまな費用が加わる場合があります。
寺院との付き合いがある家庭では、お布施などを考えることもあります。
そのため、葬儀そのものにかかる費用だけでなく、その前後に必要になるお金まで含めて考えておくと安心です。
国民生活センターも2026年6月、葬儀サービスについて「家族葬だから安い」と考えて契約したものの、最終的な費用が想定より高くなるなどの料金トラブルに注意するよう呼びかけています。
「家族葬○万円」「一日葬○万円」といった広告を見るときは、その金額に何が含まれていて、何が別料金なのかを確認することが大切です。
健康保険から受け取れるお金も確認しておく
葬儀のお金を考えるときに知っておきたいのが、健康保険から受け取れる給付です。
たとえば協会けんぽでは、被保険者が亡くなった場合、一定の条件を満たす方に埋葬料として5万円が支給されます。
埋葬料を受け取れる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に対して、5万円の範囲内で実際にかかった費用が「埋葬費」として支給されます。
加入している健康保険によって制度や手続きが異なるため、自分の加入先を確認しておくと安心です。
こうした給付だけで葬儀費用のすべてをまかなえるわけではありませんが、利用できる制度を知らずに終わらせないことも大切だと思います。
葬儀費用のために死亡保険は必要?
死亡保険は、万一のときに家族へお金を残す方法のひとつです。
ただ、葬儀のためだけに死亡保険が必ず必要とは限りません。
たとえば葬儀やその後の手続きに使える預貯金を十分に準備している家庭なら、預貯金で対応する方法もあります。
反対に、
「自分の葬儀代を家族に負担させたくない」
「預貯金は配偶者の生活費としてできるだけ残したい」
という場合は、死亡保険を利用する考え方もあります。
保険の必要性は、家族構成、預貯金、収入、現在加入している保険の内容などによって変わります。
そのため、単純に「葬儀代がかかるから保険を残す」と決めるのではなく、万一のときに家族が使えるお金が全部でいくらあるのかを確認してみることが先です。
預貯金があれば大丈夫?「家族が使えるお金」も考える
預貯金で葬儀費用を準備する場合は、残高だけを確認して終わりにしないほうがよさそうです。
葬儀は亡くなってから比較的早い時期に支払いが必要になることがあります。
そのため、
家族が必要なときに支払いに使えるお金を、どのように確保しておくか
という視点も必要です。
「葬儀に使ってよいお金はどれくらいか」
「どこの金融機関に預金があるか」
などを家族がまったく知らない状態では、十分な預金があっても困る可能性があります。
細かな金額まですべて伝えなくても、預金や保険の情報を家族が確認できるよう整理しておくだけでも、もしものときの負担を減らしやすくなります。
60代・70代は若い頃の死亡保険を一度確認
若い頃に加入した死亡保険を、そのまま何十年も続けている方もいるでしょう。
60代、70代になったら、一度、
「これから支払う保険料」と「万一のときに受け取れる死亡保険金」
を確認してみるのも一つの方法です。
若い頃は子どもの生活費や教育費、住宅ローンなどのために大きな死亡保障が必要だった家庭でも、年齢とともに必要な保障額が変わっている場合があります。
一方で、年齢や健康状態によっては、一度解約すると同じ条件で新しい保険に入り直すことが難しいことも考えられます。
そのため、内容を十分に確認しないまま死亡保険を解約するのは避けたほうが安心です。
保険期間、死亡保険金、今後支払う保険料、解約返戻金の有無などを確認してから、自分の今の生活に合っているか考えてみましょう。
葬儀のお金を準備するときに確認したい3つ
葬儀費用について考えるなら、まず次の3つを確認すると整理しやすくなります。
① どんな葬儀を希望するか
一般葬なのか、家族中心の小さな葬儀でよいのか、できるだけ簡素にしたいのかを考えます。
② 万一のときに使える預貯金はいくらあるか
普段の生活費とは別に、葬儀などに使えるお金がどの程度あるか確認します。
③ 死亡保険はいくら受け取れるか
保険証券や契約内容のお知らせを確認し、現在の死亡保障額や保険期間を見てみましょう。
この3つが分かれば、死亡保険を今のまま続けるのか、保障内容を見直すのか、預貯金を中心に準備するのかを考えやすくなります。
元気なうちに葬儀の希望を家族に伝えておく
葬儀費用を準備することも大切ですが、お金と同じくらい役立つのが自分の希望を家族に伝えておくことではないでしょうか。
「家族だけで見送ってほしい」
「葬儀にあまりお金をかけなくていい」
「このくらいの予算で考えてほしい」
こうしたことを本人が伝えていれば、家族も葬儀を決めるときに迷いにくくなります。
国民生活センターも、葬儀は突然契約することになりやすいため、可能であれば事前に情報を集め、サービス内容や費用を確認しておくことの重要性を案内しています。
私も今回調べてみて、葬儀の準備は「死亡保険に入るか、入らないか」だけの問題ではないと感じました。
希望する葬儀、使える預貯金、死亡保険、公的な給付。
この4つを一緒に考えておけば、自分に必要な準備も少し見えやすくなります。
まずは現在の保険証券と預貯金を確認し、「もしものとき、家族が困らないように何を伝えておけばよいか」を考えるところから始めてみてもよさそうです。
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参考資料
公益財団法人 生命保険文化センター
「葬儀にかかる費用はどれくらい?」
※鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査/2024年」をもとに掲載
独立行政法人 国民生活センター
「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル―『家族葬だから安い』と思っていませんか?―」 (国セン)
全国健康保険協会(協会けんぽ)
「埋葬料・埋葬費」 (教育会見法)



