60代・70代でも死亡保険は必要?若い頃に入った保険を見直すポイント
若い頃に入った生命保険を、今もそのまま続けていませんか。
毎月保険料を払っているものの、
「子どもも独立したし、今もこんなに死亡保障が必要なのかな」
「年金生活になって、保険料の負担が気になってきた」
そんなふうに感じることもあると思います。
60代、70代になっても死亡保険が必要かどうかは、年齢だけでは決められません。
子どもが独立し、住宅ローンなどの大きな負債がなく、葬儀や納骨、残された配偶者の生活に必要なお金を預貯金などで準備できる場合は、若い頃と同じ大きな死亡保障が必要ではないこともあります。
一方で、自分が亡くなったあとに配偶者の生活費が不足しそうな場合や、家族に一定のお金を残しておきたい場合は、死亡保障を残しておくという考え方もあります。
つまり、考えたいのは「60代・70代だから死亡保険はいらない」ということではありません。
今の自分には、何のために、いくらの死亡保障が必要なのか。
まずはここから考えると分かりやすくなります。
若い頃と今では死亡保険の目的が変わっていることも
30代や40代で死亡保険に入ったときは、子どもの教育費や家族の生活費、住宅ローンなどを考えて契約した方も多いでしょう。
自分にもしものことがあったとき、家族が長い間生活していけるように、大きな死亡保障を準備していた方もいると思います。
しかし、60代、70代になると暮らしは変わります。
子どもが独立した。
住宅ローンを払い終えた。
仕事を退職して年金中心の生活になった。
こうした変化があれば、若い頃に必要だった保障額と、今必要な保障額が同じとは限りません。
生命保険は一度加入すると、毎月の支払いが当たり前になり、保険料は覚えていても、保障内容までは意外と忘れてしまうものです。
長く加入している保険ほど、一度保険証券を出して、今の暮らしに合った内容になっているか見てみるとよいでしょう。
死亡保険を考えるなら、まず「残された家族に必要なお金」を整理
死亡保険を見直すとき、最初から「解約する」「保険金を減らす」と決める必要はありません。
先に考えたいのは、自分が亡くなったあとにどんなお金が必要になるかです。
たとえば、
葬儀や納骨などに備えるお金
残された配偶者の当面の生活費
住宅ローンなど残っている負債
家族に残しておきたいお金
などがあります。
一方で、すでに預貯金があり、これらの費用をある程度準備できている場合もあります。
そのため、死亡保険だけで全部を用意しようとするのではなく、
亡くなったあとに必要なお金 − 預貯金や公的保障など
という考え方で整理すると、今の死亡保障が多いのか少ないのか判断しやすくなります。
遺族年金などの公的保障も忘れずに
自分が亡くなったあとの家族のお金を考えると、生命保険に目が向きがちですが、日本には遺族年金という公的な制度もあります。
日本年金機構によると、遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金加入状況などによって、一定の条件を満たした遺族が受け取れる場合があります。
ただし、すべての配偶者が同じ条件で受け取れるわけではありません。
たとえば遺族基礎年金は、原則として亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が対象です。
遺族厚生年金についても、受給要件や対象となる遺族などが定められています。
そのため、
「遺族年金があるから死亡保険はいらない」
と決めてしまうのではなく、自分の年金加入歴や家族構成の場合はどうなるのかを調べたうえで考える必要があります。
昔入った生命保険は、まず保険証券を見てみる
何十年も前に入った生命保険の場合、
「毎月払っているけれど、詳しい内容はよく覚えていない」
ということも珍しくありません。
そんなときは、保険証券や契約内容のお知らせを出してみましょう。
最初から細かい約款まで読む必要はありません。
まず見たいのは次の4つです。
① 死亡したときにいくら受け取れるか
② 保険料はいくら払っているか
③ 保障はいつまで続くか
④ 保険料はいつまで払うのか
保険証券には「終身保険」「定期保険」などと書かれていることもあります。
一般的に、終身保険は死亡保障が一生涯続くタイプ、定期保険は一定期間を保障するタイプです。
ただし、実際の保障内容や特約などは契約によって異なります。
商品名だけで判断せず、自分の契約内容を見ることがポイントです。
分かりにくい場合は、加入している保険会社などに問い合わせて、現在の保障内容を説明してもらう方法もあります。
年金生活になったら毎月の保険料も見直したい
現役時代はそれほど気にならなかった保険料も、年金中心の生活になると負担に感じることがあります。
たとえば月5,000円でも、1年間では6万円です。
死亡保険以外にも医療保険など複数の保険に入っている場合は、年間の支払額が思ったより大きくなっていることもあります。
ただし、保険料が高いという理由だけで、すぐに解約するのは慎重に考えたいところです。
長く加入している契約には、死亡保障だけでなく医療保障などの特約が付いている場合もあります。
まず「毎年いくら払っているか」と「その保険で何が保障されているか」を並べてみると、今の暮らしに合っているか考えやすくなります。
死亡保険はすぐに解約しないほうがいい?
「もう大きな死亡保障はいらないかもしれない」
と思っても、その場ですぐ解約する必要はありません。
一度解約した保険を元に戻すことは基本的にできず、年齢を重ねてから新しい保険に入り直す場合、年齢や健康状態などによって保険料や加入条件が変わったり、加入できなかったりする可能性があります。
また、契約内容によっては解約返戻金があるものもあります。
そのため、長く続けてきた保険ほど、
「毎月の保険料がもったいないからやめよう」
と保険料だけで判断するのではなく、保障内容や解約した場合の条件まで把握してから決めたほうが安心です。
60代・70代で死亡保険を見直すときの5つのポイント
保険証券を見てもよく分からないときは、まず次の5つだけ紙に書き出してみると整理しやすくなります。
今の死亡保険金はいくらか
1年間の保険料はいくらか
もしものときに使える預貯金はどのくらいあるか
自分が亡くなったあと、配偶者などの生活費はいくら必要か
遺族年金など利用できる公的保障はあるか
保険金の金額だけで判断せず、預貯金や公的保障、家族の状況も一緒に見ていくことがポイントです。
この5つを並べるだけでも、若い頃に入った保険が今の自分に合っているのか、考えやすくなります。
60代・70代は「死亡保険が必要か」より「何のための保険か」を考える
60代、70代になったからといって、死亡保険が必要ないとは一概にいえません。
反対に、若い頃に入った大きな死亡保障を、そのままずっと持ち続けることが自分に合っているとも限りません。
子どもが独立したのか。
住宅ローンは残っているのか。
預貯金はいくらあるのか。
自分が亡くなったあと、配偶者の生活はどうなるのか。
家庭によって答えは違います。
だからこそ、最初にすることは解約でも、新しい保険への加入でもありません。
まず保険証券を出して、
「この死亡保険は、今の私にとって何のための保険なのだろう?」
と考えてみることです。
若い頃とは暮らしが変わった今、自分に必要な保障も変わっているかもしれません。
保険、預貯金、公的保障を一つずつ整理しながら、これからの生活に無理のない備え方を考えていきたいですね。
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参考資料
日本年金機構「遺族年金」
遺族基礎年金・遺族厚生年金の概要や、対象となる遺族について確認できます。
日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
遺族基礎年金の受給要件、対象者、年金額について掲載されています。
日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
遺族厚生年金の受給要件や対象者などについて掲載されています。
※生命保険の必要性や見直し方は、家族構成、預貯金、年金、健康状態、契約内容などによって異なります。本記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の保険商品の契約・解約を勧めるものではありません。


