持病があると果物は控えるべき?腎臓病・糖尿病・薬で注意したい食べ方
父が体調を崩して病院へ行ったことをきっかけに、食事について調べる機会がありました。
それまで私は、果物は「体に良いもの」というイメージが強く、種類や量まで細かく気にしたことがありませんでした。
ところが、持病や血液検査の結果、服用している薬によっては、同じ果物でも食べ方を確認したほうがよい場合があります。
だからといって、バナナやキウイ、グレープフルーツそのものが「体に悪い」という話ではありません。
まず、自分に必要な注意点を知っておくことが大事です。
| 状況 | 確認したいこと | 自己判断で避けたいこと |
|---|---|---|
| 腎機能が低下している | 血清カリウム値や医師の指示 | 果物を一律に禁止する |
| 糖尿病がある | 果物の量・加工方法・食事全体 | 「果物なら無制限」と考える |
| 薬を服用している | グレープフルーツなどとの相互作用 | 薬を勝手に中止する |
腎臓病があっても、全員が果物を制限するわけではない
カリウムは筋肉や神経などの働きに必要な栄養素で、通常は余分な分が主に腎臓から排出されます。
腎機能が低下し、血液中のカリウムが高くなっている場合には、食事から取るカリウム量の調整が必要になることがあります。
ただし、「CKD=果物禁止」ではありません。
日本腎臓学会の「CKD診療ガイドライン2023」でも、CKD患者に野菜や果物を一律に制限することは勧められていません。高カリウム血症がある場合などに、血液検査や食事内容を見ながら個別に対応する考え方です。
バナナ、キウイ、メロン、アボカド、ドライフルーツなどはカリウムを比較的多く含みますが、「腎臓に悪い食品」と決めつけるのではなく、自分にカリウム制限が必要なのかを先に確認します。
糖尿病でも果物をすべて避ける必要はない
健康日本21(第三次)では、一般成人の果物摂取量として1日200gが目標とされています。
ただし、これは健康づくりのための一般的な目標です。
日本糖尿病学会が2026年に公開した一般向け資料では、生の果物は1日150g程度(約80kcal)を一つの目安とし、何回かに分けて食べる方法が紹介されています。
実際の適量は治療内容や必要なエネルギー量によって変わります。
「一般的な目標が200gだから、自分も同じ量でよい」と考えるのではなく、主治医や管理栄養士から食事量を示されている場合は、そちらを優先します。
果物を完全にやめるより、量や食べ方を食事全体の中で調整する考え方です。
ジュース・ドライフルーツは「果物と同じ量」と考えない
果物を食べるときに見落としやすいのが、ジュースや加工品です。
100%果汁ジュースでも短時間で飲みやすく、生の果物をかんで食べる場合とは摂取の仕方が異なります。
ドライフルーツも水分が減って小さくなっているため、少量に見えても食べる量が増えやすくなります。
日本糖尿病学会の資料でも、シロップ漬けの果物缶詰やドライフルーツは糖質摂取量が多くなりやすいため、量に注意するよう案内されています。
毎日スムージーや果汁飲料を飲んでいる場合は、「健康のために飲んでいるから大丈夫」と考えず、一度にどのくらいの果物を使っているかを見てみると分かりやすくなります。
薬を飲んでいるならグレープフルーツを確認する
持病がある方では、果物の栄養だけでなく薬との組み合わせも確認したいところです。
代表的なのがグレープフルーツです。
グレープフルーツやグレープフルーツジュースは、一部の医薬品の代謝に影響し、薬の血中濃度を上げることがあります。
ただし、「血圧の薬なら全部ダメ」「コレステロールの薬なら全部ダメ」という話ではありません。
影響を受けるかどうかは薬ごとに異なります。
薬を受け取ったときの説明書に食品との注意事項が書かれていないかを見て、分からなければ、
「この薬を飲んでいる間、グレープフルーツを食べても大丈夫ですか」
と薬剤師に薬の名前を見せて確認すると安心です。
果物が心配だからといって、処方薬を自己判断で止めることは避けてください。
「何を食べてはいけない?」より「どのくらいなら?」と聞く
持病があると、「バナナは禁止」「果物は糖分が多いからダメ」といった短い情報のほうが目につきやすくなります。
でも、実際の食事管理はそれほど単純ではありません。
同じ腎臓病でも血清カリウム値は違いますし、糖尿病でも治療内容や必要なエネルギー量は異なります。薬との相互作用も薬品名によって変わります。
通院しているなら、
「私は果物を制限する必要がありますか」
「普段食べているバナナやみかんは、どのくらいなら大丈夫ですか」
「この薬と一緒に避ける食品はありますか」
と具体的に聞くほうが、普段の食生活に取り入れやすい答えを得やすくなります。
果物を全部やめるのではなく、自分に必要な制限だけを知ることがポイントです。
よくある質問
腎臓が悪いとバナナを食べてはいけませんか?
腎臓病だから一律にバナナを禁止するわけではありません。
高カリウム血症がある、医師からカリウム制限を指示されているなどの場合には量の調整が必要になることがあります。
血液検査の結果と医療者の指示を優先してください。
糖尿病なら果物は食べないほうがいいですか?
糖尿病だから果物を完全に避ける、という考え方ではありません。
量や食べ方を食事全体の中で調整します。
治療中の方は一般向けの「1日200g」をそのまま自分の目標にせず、主治医や管理栄養士から示された食事内容を優先してください。
グレープフルーツは血圧の薬を飲んでいたら全部ダメですか?
すべての降圧薬がグレープフルーツの影響を受けるわけではありません。
薬によって異なるため、薬の説明書を確認するか、薬剤師に現在飲んでいる薬を見せて確認するのが安心です。
果物を怖がるより、自分に必要な注意点を知る
父の通院をきっかけに調べてみて、「健康によい食品でも、すべての人が同じ食べ方をするわけではない」ということが印象に残りました。
一方で、持病があるからといって、ネットで見た情報だけで好きな果物を次々にやめる必要もありません。
まず見るのは、この3つです。
持病で食事制限を指示されているか。
血液検査で注意する項目があるか。
薬と避けるべき食品があるか。
分からない場合は、「食べてはいけない物」を探すより、「どのくらいなら食べられるか」を主治医や管理栄養士、薬剤師に聞いてみるほうが実際の生活に役立ちます。
薬を複数飲んでいる高齢の家族がいる場合は、食事だけでなく服用中の薬も一緒に整理しておくと確認しやすくなります。高齢の親の薬や服薬管理についてまとめた関連記事も、あわせて参考にしてください。
今回調べる中で参考にしたもの
厚生労働省「健康日本21(第三次)推進のための説明資料」
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
日本糖尿病学会「日本糖尿病学会がすすめる健康食 スタートブック」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報


